シビックテック

シビックテックの概念と日本での展開

シビックテック（civic tech）およびシビックテクノロジー（civic technology）は、市民と政府の関係を強化するために、コミュニケーション、意思決定、サービス提供、政治プロセスを支える技術の活用を指します。具体的には、行政内部の専門チームだけでなく、ボランティア、非営利団体、コンサルタント、または個人企業からなるコミュニティ主導のチームが開発したソフトウェアが用いられます。これにより、単なる情報の提供にとどまらず、市民が積極的に行政に関与できる環境が整備されていきます。

日本におけるシビックテックの動向

日本でのシビックテックの取り組みは、2013年ごろから急速に増加しています。この活動は初めて市民から主導され、徐々に行政からの支援も受けるようになりました。シビックテックの主な目的は、市民に対して民主的な技術の使用法を教え、公開情報へのアクセスを広げることです。それにより、行政と市民の関係性が深まり、双方の信頼性が向上します。

最初のシビックテック活動は、2011年の東日本大震災後に起こりました。特に、福島第一原子力発電所事故を受け、市民が放射線データを収集し流通させるためのプロジェクト「Safecast」が立ち上げられました。この活動は、市民の主体的な参加と情報の透明性を促進する重要な例となりました。

さらに、市民主導のプラットフォーム「Code for All」は、一般市民に対してデータへのアクセスを向上させ、技術の活用を促進する役割を果たしています。この動きの一環として設立された「Code for Japan」は、行政との深い連携を図りながら、さまざまな技術プロジェクトを進めています。例えば、新型コロナウイルスの感染拡大を懸念し、Code for Japanは東京都の感染者数と地下鉄の利用者数の減少を広報するために、特設サイト「stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp」を開発しました。

また、JP-Miraiが主導するプロジェクトでは、移民労働者がビザや税金などに関する苦情を申し入れられるアプリが開発されています。このアプリの名称はまだ決まっていませんが、移民労働者の権利を守るための重要なツールとして期待されています。

このように、日本におけるシビックテックは、市民が主体となり行政との連携を図りつつ、情報へのアクセスを広げ、民主化を進める動きが見られます。これらの取り組みは今後も進化し、より良い社会の実現に向けた重要な一歩となるでしょう。

もう一度検索