シュモクザメ

シュモクザメについて

シュモクザメ（撞木鮫、英: Hammerhead shark）は、メジロザメ目のシュモクザメ科に属するサメの一群で、その特異な頭の形から「シュモクザメ」と呼ばれています。頭部は左右に広がり、その先端には目と鼻孔があります。この特徴的な形状は、鐘や鉦のように見えることから名付けられました。この頭部の左右に広がる部分にはロレンチーニ器官があり、微弱な電気を感知する能力が非常に優れています。他のサメに比べ、シュモクザメはこの器官が発達しており、獲物を探す際に非常に役立っています。しかし一方で、目が離れすぎているため真正面には死角が存在してしまいます。

視覚と行動

シュモクザメの特に頭部が発達した種、例えばアカシュモクザメ（Sphyrna lewini）は、30-50°という広い立体視角をもち、これは通常のサメの約10°と比較すると非常に広範囲です。視覚の幅広さは、獲物をより正確に把握するのに寄与していますが、その代償として頭部の正面には死角が生まれます。しかし、シュモクザメは頭を左右に振ることでこの死角を補っていると考えられています。

シュモクザメは、群れを成して行動する特性があります。他のサメと異なり、時には数百匹にも及ぶ個体が一緒に泳ぐことが観察されています。この群れ行動は捕食効率を高め、防御の手段ともなっています。

単性生殖と出産

非常に興味深い点は、シュモクザメが単性生殖を行うことが確認されている点です。アメリカのネブラスカ州にある「Henry Doorly Zoo」にて、メスのシュモクザメがオスと接触することなく出産した事例が報告されています。このメスは、2001年12月に出産を行い、驚くべきことにその子どもは母親のDNAのみを受け継いでいました。この事例は、オスの精子を体内に長期間保存できるサメのメスを示す興味深い証拠となっています。

人との関わり

シュモクザメに関する人的被害の報告はほとんどありませんが、日本では夏季に海水浴場の周辺に現れることがあります。これに対しては、監視や捕獲禁止、遊泳禁止などの安全対策が講じられています。漁業との関係では、シュモクザメが漁獲物や漁具に損傷を与える被害が多く発生しており、特に東京都八丈島周辺ではその存在が確認されています。

絶滅危惧種と規制

シュモクザメは、高級食材フカヒレの材料として人気があり、アカシュモクザメは絶滅危惧種に指定されています。2011年には、世界中で年間7,300万匹が捕獲されています。漁業の乱獲に対処するため、2013年にはバンコクで開催された国際条約により、シュモクザメを含む数種が規制対象に加えられました。

分類

シュモクザメは2つの属に分けられ、全9種が確認されています。特に、ウチワシュモクザメ（Bonnethead）やナミシュモクザメ（Smalleye Hammerhead）など、各種はそれぞれ異なる特徴を持ちながらも、共通屋に進化的なつながりを持っています。将来的にはさらにその生態や行動が解明されることが期待されています。

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