シロバナタンポポ

シロバナタンポポ（白花蒲公英）

シロバナタンポポ（学名: Taraxacum albidum）は、キク科タンポポ属に属する多年生植物で、日本の固有種です。本州の関東地方から北陸地方以西に分布し、白い花を咲かせることで知られています。

特徴

シロバナタンポポは、2月から5月にかけて開花時期を迎えます。頭花の直径は約3.5cmから4.5cmで、一見すると一つの大きな花に見えます。しかし、この頭花は多数の小さな舌状花が集まって構成されており、白い花びらに見える部分は、この舌状花の「花冠」と呼ばれる部分です。中央部の花柱は黄色をしています。

一つの頭花に含まれる舌状花の数は約100個と、他のタンポポと比較して少ない傾向にあります。そのため、結実する種子の数も比較的少ないです。しかし、シロバナタンポポは5倍体であり、単為生殖が可能であるという特徴を持っています。この性質により、受精を行わずに種子を形成することができます。

シロバナタンポポは、カンサイタンポポを種子親とする雑種起源であることが確認されています。また、ケイリンシロタンポポが花粉親としての条件を満たすことも確認されました。しかし、その後の調査で、母系遺伝する葉緑体がシロバナタンポポとケイリンシロタンポポで同一であることが判明し、ケイリンシロタンポポが種子親でカンサイタンポポが花粉親であることが示唆されています。

シロバナタンポポは、他のタンポポに比べて舌状花が少なく、花の色が白色であるため、比較的容易に区別できます。

他の白いタンポポ

日本には、シロバナタンポポ以外にも白い花を咲かせるタンポポが存在します。

キビシロタンポポ: シロバナタンポポよりも花茎が短く、花の色はクリーム色に近いのが特徴です。主に中国地方に分布しており、4倍体です。
オクウスギタンポポ: キビシロタンポポとよく似た外観を持ちます。東北地方に多く見られ、5倍体です。
ウスジロカントウタンポポ: カントウタンポポの中で、花弁の色が特に薄いものを区別するために用いられる名称です。

その他

四国や九州の一部地域では、「タンポポの花は白いのが普通で、黄色の花は珍しい」と認識されていることがあります。これは、これらの地域におけるシロバナタンポポの分布と、人々の認識が結びついた結果と考えられます。

ギャラリー

シロバナタンポポの花

シロバナタンポポの群生

脚注

植物雑学事典 - シロバナタンポポ
* 岡山県のタンポポ属植物（倉敷市立自然史博物館）

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