シンビジウム

シンビジウムとは

シンビジウム（Cymbidium）は、ラン科に属する植物です。一般的に「シンビジウム」という言葉は、東南アジアに自生する種を基に品種改良された洋ランを指しますが、本来はシュンラン属に分類される植物の総称です。本記事では、洋ランとしてのシンビジウムに焦点を当てて解説します。

特徴

シンビジウムは、ラン特有のバルブ（茎の肥大部）を持ち、そこから細長い葉を根元から伸ばします。花はバルブの基部から出る茎に付き、単独で咲くものや、総状に多数の花を付けるものがあります。洋ランとして栽培されるシンビジウムは、特に多数の花を咲かせるものが一般的です。花茎は直立するもの、やや垂れ下がるもの、長く垂れ下がるものなど、品種によって様々です。

花はシンビジウムの特徴的な部分で、花弁が幅広く、全体的に抱え込むように咲くのが特徴です。

自生地

シンビジウムの自生地は東アジアにありますが、洋ランとして品種改良に用いられたのは、主にインド、ミャンマー、マレーシアなどに自生する種です。東洋ラン系の種も交配親として利用されることがあります。

品種について

シンビジウムは、洋ランとして古くから栽培されており、四大洋ランの一つとして知られています。メリクロン法などの栽培技術も、この属の植物で最初に開発されました。

日本では非常に人気が高く、欧米を凌ぐほどの育種や栽培技術が進歩しています。かつては洋ランの中で最も流通量が多く、1990年代までは最も一般的な洋ランでしたが、現在ではコチョウランに次いで人気があります。しかし、年末には贈答用として多くの鉢物が出回ります。

シンビジウムには多くの品種が存在し、明確な分類は難しいですが、一般的に以下のようなタイプに分けられます。

大型種：インド原産の種を交配して作られた大輪の品種です。花茎は直立し、先端がやや下垂します。花弁は厚く、蝋のような質感で、色は黄色、白、ピンク系などがあります。
中型種・小型種：大型種にキンリョウヘンやシュンランなどを交配したもので、小型で栽培しやすいのが特徴です。
キャスケードタイプ：花茎が基部から斜めに出て、次第に大きく垂れ下がる品種です。輸送が難しいため、以前はあまり普及していませんでしたが、近年では広く出回るようになってきました。

代表的な原種としては、C. insigne（インシグネ）などが知られています。

栽培

シンビジウムは、比較的栽培しやすい植物ですが、花を咲かせるのが難しいとも言われています。耐寒性が強く、半ば放置してもよく育ちますが、葉ばかり茂って花が咲かないということも少なくありません。開花には適切な温度管理や肥料の与え方などが重要になります。

参考文献

大場良一監修、『失敗しない洋ラン入門』、(2010)、主婦の友社
* 岡田弘、『咲かせ方がよくわかる　はじめての洋ランの育て方』、(2011),主婦の友社

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