スチームコンベクションオーブン

スチームコンベクションオーブン：大量調理の効率化と高品質を実現する調理機器

ホテル、病院、学校給食など、大量調理を行う現場において、スチームコンベクションオーブンはなくてはならない存在となっています。一般的に「スチコン」や「コンビオーブン」などと呼ばれ、その多機能性と効率性から、調理現場の革新に大きく貢献しています。

コンベクション機能とスチーム機能の融合

スチームコンベクションオーブンは、コンベクションオーブンの機能をベースに、水蒸気による加熱機能を付加した調理機器です。コンベクションオーブンとは、オーブン内部の空気を強制的に対流させることで、温度ムラを抑制するオーブンです。これにより、食材を均一に調理することが可能になります。

スチームコンベクションオーブンでは、このコンベクション機能に加え、水蒸気発生装置を搭載。これにより、「焼く」「蒸す」「煮る」「炒める」「茹でる」「温める」といった、多様な調理法に対応できます。例えば、食材を蒸しながら焼くといった、従来のオーブンでは実現困難だった調理も可能です。

主要機能と特徴

スチームコンベクションオーブンの基本機能は以下の3つです。

1. 蒸気機能: 野菜の加熱や蒸し料理などに使用されます。食材本来の風味や栄養を損なわずに調理できます。
2. 熱風機能: ローストやパン、お菓子の焼成など、幅広い用途に対応します。高温で素早く調理することで、食材の水分保持も可能です。
3. 蒸気+熱風機能: 蒸し焼きや煮物、炒め物など、様々な調理法を組み合わせることができます。食材の旨味を引き出し、複雑な味付けにも対応できます。

スチームコンベクションオーブンは、以下の特徴も備えています。

温度と時間の正確な制御: 標準化された調理を実現し、品質の安定化に貢献します。
芯温センサー: 食材の中心温度を正確に測定することで、焼き加減を最適に管理できます。
省水性: 釜を用いた茹で物と異なり、大量の水を捨てる必要がありません。調理場内の衛生管理が容易になり、省資源にも繋がります。
効率的な操作性: ボタン操作で簡単に調理でき、調理中は他の作業に専念できます。複数の調理物を同時に調理することも可能です。
* 容易な洗浄: 専用洗剤と洗浄モードにより、庫内の衛生管理が容易に行えます。

歴史と発展

従来のオーブンは、熱源からの距離によって温度差が生じ、焼きムラが発生しやすいという課題がありました。この問題を解決するために開発されたのがコンベクションオーブンですが、風の影響で食材の調味料が飛び散るという新たな課題も発生しました。

そこで、水蒸気を利用した調理方法が注目され始めます。西ドイツ（当時）の技術者が、オーブン内に水を入れて放置したところ発生した水蒸気に着目し、その実用化に成功。この技術が、スチームコンベクションオーブンの開発へと繋がりました。1976年には、西ドイツのラショナル社が世界初の製品を販売。その後、日本でもフジマック社などが導入し、普及が進みました。

家庭用との違い

家庭用のウォーターオーブンもスチーム機能を搭載していますが、スチームコンベクションオーブンとは規模や用途が異なります。スチームコンベクションオーブンは、業務用として大容量の調理に対応できるよう設計されており、高出力と耐久性を備えています。また、家庭用は一般的に100V電源を使用するのに対し、スチームコンベクションオーブンは3相200V電源を使用するなど、電力供給にも違いが見られます。

まとめ

スチームコンベクションオーブンは、その多機能性、効率性、衛生面での優位性から、大量調理を行う現場に不可欠な調理機器です。近年では、技術革新により、さらに使いやすく、高性能なモデルが登場しており、今後も調理現場の進化に貢献していくものと期待されています。

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