タマヨリビメ

タマヨリビメとは

タマヨリビメ（玉依毘売、玉依姫、玉依媛）は、日本神話や神道の中で、神霊を宿す女性たちを表現する重要な存在です。これは直訳すると「神霊の依り代となるヒメ」や「神霊が依り憑く女性」という意味を持ちます。こうした巫女的な役割を果たす女性は、神に近い者として神格化され、特に祭りや儀式の場において重要な位置を占めています。

倉塚曄子によれば、物語中でタマヨリビメは固有の名として扱われがちですが、実際には一般的な名詞として理解した方が適切です。タマ（霊）とヨリ（依りつく）という言葉が示す通り、彼女たちは神霊を体現し、それを人間社会に結びつける存在となります。柳田國男も、これを差し示すように神霊を宿すことができる巫女の総称と見なしています。

各種のタマヨリビメ

タマヨリビメは、様々な神話で異なる名前を持つことがあります。それぞれの物語において、彼女らは特定の神々と結びついており、独自の役割を果たしています。

1. 玉依姫命
- 『日本書紀』に登場するこの神女は、高皇産霊尊の娘であり、天忍骨命の妃として知られています。彼女は、伝説の中で重要な位置を占め、自らの子を生むという神聖な役割を果たします。

2. 玉依毘売
- 綿津見神の娘であり、彦波瀲武鸕鶿草葺不合尊の妻、さらに神武天皇の母として紹介されています。この神女もまた、母性や神聖さを象徴する存在です。

3. 活玉依毘売
- 古事記に登場し、陶津耳命の娘として描かれる彼女は、三輪山の神である大物主大神の妻として知られ、三輪氏の祖を生む運命を持ちます。

4. 玉櫛媛（または三島溝樴姫）
- 還元された伝説の中で、八尋熊鰐に変身する事代主神に結びついています。彼女は、神武天皇の妻となる媛蹈鞴五十鈴媛を産み出します。

5. 鴨玉依姫（賀茂玉依姫）
- 山城の神社伝説に登場する彼女は、賀茂建角身命の娘であり、賀茂川の流域で特殊な出産を果たします。この伝説は、賀茂神社の神事の背景と考えられており、彼女もまた地域の神々を通じて重要な役割を果たしています。

タマヨリビメの神聖性

タマヨリビメたちは、もののあはれを体現し、神と人間の架け橋として機能します。彼女たちが存在することで、神霊と人々の生活が深く結びついており、精神的な指導者としての役目を担っています。これらの巫女たちの神聖な力は古代から人々の信仰を集め、祭りや儀式を通じて神々の恩恵をもたらしたのです。

タマヨリビメの存在は、日本の神話や文化において重要であり、巫女としての役割がどのように神々と人々を結びつけるかを理解するための鍵となるでしょう。

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