ターボライナー

ターボライナーについて

ターボライナー（Turboliner）は、1976年にアムトラック向けに製造された革新的な鉄道車両です。この車両は、ロー社によって設計され、主にディーゼルとガスタービンのエンジンを搭載しています。特に、ニューヨークのペンシルベニア駅とグランドセントラル駅を結ぶトンネル区間では、第3軌条からの集電が行われています。

背景

アムトラックは、1971年にアメリカ国内のほとんどの民営都市間旅客鉄道を統合して設立され、長年にわたり衰退していた鉄道網の再興を目指しました。アムトラックは、430本以上の列車の中で184本を維持し、300両の機関車と1190両の客車を保有していましたが、これらの多くは1940年代から1950年代に製造されたものでした。ターボライナーの導入は、この古い車両のイメージを刷新し、経済的な運行効率を提供するための試みでした。

ターボライナーは、ディーゼル機関車や同時期の車両よりも運行コストを抑えつつ、速度面でも優れた性能が期待されていました。新車両の投入により、アムトラックのイメージ向上も狙われていました。

RTGターボライナー

ターボライナーは、フランスのANF社によって開発されたRTGガスタービン車両を基にしています。RTGはアメリカとカナダで1970年代に運用され、シカゴでの利用が中心でした。これらの車両は、ロー社とANFの協力により導入され、累計で6編成が製造されました。それぞれが動力車と客車から成り、シカゴから各方面への運行に従事していました。

特に、燃料危機が発生した1970年代、ターボライナーはその高効率なガスタービンエンジンにより、燃料消費を大幅に抑えながら運行されました。RTGは当初の設計を改良し、小型タービンエンジンを搭載することで、より低燃費を実現しました。

RTLターボライナー

その後、アムトラックは追加で7編成のターボライナーを発注し、1976年から1977年にかけてRTLターボライナーを導入しました。これらはアメリカ式の連結器を備え、RTGとは異なり、より広い車両デザインが採用されました。標準編成は動力車、食堂車、無動力の客車から成り、264名を輸送可能でした。とはいえ、急速なコストの見直しにより、より従来型のディーゼル機関車に頼る姿勢が強化されました。

RTL-IIとRTL-IIIのアップグレード

1995年、アムトラックとニューヨーク州の協力のもと、1編成のRTLターボライナーが大規模な改造を受け、エンジンの出力が向上しました。この編成はRTL-IIと名付けられ、125mphの最高速度を達成しました。また、1998年には全7編成のRTLターボライナーが最新技術にアップグレードされる計画が立てられ、初期の2編成が運行を開始しましたが、遅延が続き、完成したのはわずか1編成でした。

その後の動き

2008年、アムトラックはターボライナーの編成を公示し、売却を開始しました。これにより、数編成がデラウェア州で保管されている状態にあります。

結論

ターボライナーは、アメリカ鉄道史における重要な革新を象徴する存在であり、アムトラックの理念を体現する車両となりました。その技術的な挑戦と、環境への配慮は、鉄道の未来像を示唆するものでありました。ターボライナーはただの移動手段ではなく、アメリカの鉄道旅客輸送の新たな時代を切り開く存在として位置づけられています。

もう一度検索