チルダ

チルダ（tilde）

チルダは記号「~」のことで、音声や数量を示す際に広く使用されます。この記号は、ダイアクリティカルマーク（発音区別符号）の一種で、鼻音に関連する音を表現します。その名前は英語で「tilde」と呼ばれ、スペイン語では「tilde」、ポルトガル語では「til」と呼ばれます。その起源は、特定の字母の上に小さく書かれた「N」に由来し、次第に現在の形に発展しました。

各言語における用法

チルダは多くの言語で独自の用法を持ちます。以下にいくつかの例を挙げます：

• - スペイン語・バスク語：

チルダは「ñ」という文字で、硬口蓋鼻音「/ɲ/」を表します。

• - ポルトガル語：

「ã」や「õ」といった文字が鼻母音を表すのに使われます。

• - エストニア語・ヴォロ語：

「õ」は非円唇後舌半狭母音「[ɤ]」を表します。

• - グリーンランド語：

1973年以前の正書法では「ã」「ĩ」「ũ」が使われ、長母音の表現に使用されていました。

• - リトアニア語・ラトビア語：

正書法には含まれませんが、辞書や研究書ではアクセントを示すために利用されます。

• - ベトナム語：

各種声調を表すために、「ã」「ẫ」「ẵ」などの文字が使用されます。

数学とコンピュータでの利用

チルダは、特に数学の分野で多くの用途を持っています。たとえば、チルダは二つの量が漸近的に等しいことや、図形が相似であることを示します。数学における例を以下に示します：

• - 「n² + 1 ∼ n²（n → ∞）」
• - 「wₖ ∼ N(0, Qₖ)」

また、コンピュータプログラミングにおいても重要な役割を果たします。たとえば、UNIX系オペレーティングシステムでは、チルダはユーザーのホームディレクトリを示すために使われます。具体的には、「~」は自身のホームディレクトリを、「~ユーザー名」は特定のユーザーのホームディレクトリを指します。

さらに、C言語やその派生言語では、ビットごとのNOT演算を表す単項演算子として和（~）が使用されています。一方、C++では、デストラクタを表す記号として利用され、他の言語でも正規表現マッチングの際に活用されることが多いです。

Unicodeにおけるチルダ

チルダのUnicodeにおける全角文字は「～」で、そのコードはU+FF5Eです。この文字は波ダッシュと似ていますが、Unicodeでは異なる文字として分類されています。また、コンピュータにおけるチルダの形は、伝統にしたがって上にデザインされことが多いですが、ハイフンのように中央に配置されることもあります。

その他の文化における使用

チルダはアヴェスター語の翻字でも使用され、また1897年にはジャン・ジュゼッペ・ペアノが論理学において否定を表すためにこの記号を導入しました。

このように、チルダには多様な用法と重要な役割があります。音声表現や数学、コンピュータプログラミングなど、多くの分野で広がるこの記号の使われ方は、言語や文化におけるコミュニケーションを豊かにする存在となっています。

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