チーターマン

チーターマン：バグと謎に満ちたアクションゲームの軌跡

1990年代初頭、アメリカ合衆国のActive Enterprises社によって生み出された『チーターマン』シリーズは、その異様なゲーム性と数々の謎で知られるアクションゲームです。本シリーズは、正式には単体作品として発売されたことはなく、1991年に発売されたミニゲーム集『Action 52』(NES版)の52番目のゲームとして収録されたことが始まりです。その後、続編となる『チーターマンII』も開発されましたが、公式には発売されませんでした。

シリーズを通して、3体の擬人化されたチーター「チーターマン三兄弟」を操作し、それぞれ異なる武器を用いてゲームを進めていくという共通点があります。しかし、そのゲーム性には多くのバグや、理解不能なクリア条件が散見され、プレイヤーを困惑させる要素が満載です。特に『チーターマンII』では、ラストステージに到達できないといった致命的なバグも存在します。

Active Enterprises社の栄枯盛衰とチーターマンの誕生

Active Enterprises社は、1989年にVince PerriとRaul Gomilaによってバハマに設立されました。同社は『Action 52』をNES向けに無許可で199ドルという高価格で発売しましたが、商業的には失敗に終わります。テレビCMも制作されたにも関わらず、期待したほどの売り上げは得られず、会社は倒産寸前にまで追い込まれました。

『Action 52』に収録された『チーターマン』は、その中から代表作として選ばれましたが、ゲーム自体のクオリティも低く、商業的成功には結びつきませんでした。『チーターマンII』も開発されましたが、完成度の低さから発売に至らず、1500本の在庫を抱えたまま、Active Enterprises社は1994年に倒産しました。

その後、Sean Roche氏によってActive Enterprises社の倉庫から『チーターマンII』のカートリッジ1500本が発掘され、インターネット上で販売されることとなります。

ニコニコ動画での再評価とカルト的人気

2007年、日本の動画投稿サイト「ニコニコ動画」に『チーターマンII』のプレイ動画が投稿されると、その独特なゲーム性と数々のバグが話題となり、瞬く間に人気を博しました。再生回数は200万回を超え、同人誌の制作など、二次創作も盛んに行われるようになりました。この動画投稿がきっかけで、日本国内では無名だったチーターマンは、世界的に知られることとなったのです。しかし、著作権の問題から、ニコニコ動画運営側は開発者へのコンタクトを試みましたが、良い反応は得られませんでした。

ゲーム内容：バグと混沌のゲーム体験

『Action 52』に収録された初代『チーターマン』は、他の51のミニゲームと同様、低品質でバグが多いゲームです。シューティングやアクションが中心ですが、敵が出現しないゲームや、開始直後に死亡するゲームなど、奇抜で不可解なゲームデザインが目立ちます。

一方、ゲームのBGMは一部の層から高く評価され、ニコニコ動画上では多数のアレンジ曲が作られるほどの人気があります。

『チーターマンII』は、単独作品として開発されたとされています。前作と同様にチーターマン三兄弟を操作しますが、ステージ構成や敵キャラクターのデザインは変化しており、より統一感のある世界観となっています。しかし、前作と同様に多くのバグが存在し、特にラスト2ステージをプレイできないという致命的なバグが有名です。

ジェネシス版『Action 52』にもチーターマンが収録されていますが、NES版とは大きく異なる内容となっており、評価は高くありません。

個性豊かなキャラクターと敵キャラクターたち

チーターマン三兄弟は、母親を殺害された過去を持ち、復讐と世界征服を企むドクター・モービスに立ち向かう正義のヒーローです。

アポロ (長男)： 弓の名手であり、三兄弟のリーダー。
ヘラクレス (次男)： 空手の達人。
* アリエス (三男)： 棍棒使い。名前の由来は星座のおひつじ座からきていると考えられていますが、確証はありません。

敵キャラクターは、ドクター・モービス率いる悪の軍団です。初代『チーターマン』では、『Action 52』の他のゲームからのキャラクターの流用が目立ちますが、『チーターマンII』では、より統一感のあるデザインとなっています。

まとめ：伝説のクソゲーとして語り継がれる不朽の名作

『チーターマン』シリーズは、低予算で作られたにも関わらず、独特の世界観と、数々のバグや謎に満ちたゲーム性で、現在でも多くのファンを魅了し続けています。ゲームとしての完成度は低いものの、その混沌としたゲーム体験は、一種の異様な魅力を放ち、伝説のクソゲーとして語り継がれているのです。インターネットを通じて再評価されたことで、現代においてもその存在感を示し続けている、稀有なゲームと言えるでしょう。

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