トラッキン

「トラッキン」（Truckin'）は、アメリカのロックバンド、グレイトフル・デッドが1970年に発表した楽曲です。1971年にはシングルカットもされ、バンドの代表曲の一つとして知られています。

この曲の歌詞は、ロバート・ハンターによって書かれました。ツアー中の宿泊先での出来事や、ドラッグの常用といったテーマが織り込まれています。特に、1970年1月31日にニューオーリンズのバーボン・ストリートで、バンドメンバーを含む19名が麻薬所持容疑で逮捕、起訴されたという実際の事件も、歌詞に反映されています。作曲はジェリー・ガルシア、フィル・レッシュ、ボブ・ウィアーの3人が共同で行い、リードボーカルはボブ・ウィアーが担当しました。

レコーディングは、1970年8月から9月にかけてサンフランシスコのウォーリー・ハイダー・スタジオで行われました。1970年11月1日に発売されたアルバム『American Beauty』に収録され、その後、1971年1月20日にシングルカットされました。シングルバージョンは、アルバムバージョンを基にしていますが、いくつかの相違点があります。例えば、シングル用に3分13秒に短縮されている点、ガルシアのリードギターパートが部分的に異なっている点、そしてウィアーのリードボーカルに電気的な処理が加えられている点などが挙げられます。シングルのB面には、ガルシアがリードボーカルを務める「さざ波（Ripple）」が収録されました。

「トラッキン」のシングルバージョンは、1971年12月25日付のビルボード・Hot 100で64位を記録しました。2001年に再発されたアルバムには、シングルバージョンに加えて、1970年12月26日にカリフォルニア州エルモンテで収録されたライブバージョンも収録されています。

1972年にリリースされたライブアルバム『Europe '72』に収録されたライブバージョンは、13分8秒にも及ぶ演奏で、後半のジャムセッションが次の曲「Epilogue」へとシームレスに繋がっています。さらに、1977年に発売されたコンピレーションアルバム『What a Long Strange Trip It's Been』のタイトルは、この曲のリフレイン歌詞である「Lately it occurs to me / What a long strange trip it's been」（この間ふと思った／よくもまあこんな長く奇妙な旅を続けてきたものだと）から取られています。

この楽曲の演奏者は以下の通りです。

ボブ・ウィアー - リズムギター、リードボーカル
ジェリー・ガルシア - リードギター、バッキングボーカル
フィル・レッシュ - ベース、バッキングボーカル
ビル・クルーツマン - ドラムス
ミッキー・ハート - ドラムス
ハワード・ウェールズ - オルガン

「トラッキン」は、その独特な歌詞と演奏スタイル、そしてグレイトフル・デッドの歴史を象徴する楽曲として、長年にわたり多くのファンに愛され続けています。

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