トラバサミ

トラバサミ：その仕組みと危険性

トラバサミは、古くから狩猟に使用されてきた罠です。動物が罠の中央の板を踏むと、ばね仕掛けが作動し、金属製の板が素早く閉じ込め、足を強力に挟みます。海外では、ベアートラップやレッグホールドトラップなどとも呼ばれています。日本語では「虎挟み」という表記も用いられます。

かつては、より確実に獲物を捕獲するため、挟む板にギザギザの歯が付いたものも存在しました。大型獣用のトラバサミに至っては、人間が誤って踏むと脚の骨を粉砕するほどの威力を持つものもあったと言われています。この強力な挟み込み力は、獲物に長時間の苦痛を与えるだけでなく、人身事故の危険性も伴います。鳥類が誤って捕獲される事例も報告されています。

このような危険性から、トラバサミの使用には長年批判が寄せられてきました。動物愛護の観点からも、その残酷な捕獲方法が問題視されています。

各国におけるトラバサミの使用規制

日本における規制

日本では、鳥獣保護管理法の改正により、2007年4月16日から、狩猟におけるトラバサミの使用が原則禁止されました。ヒグマ、ツキノワグマ、イノシシ、ニホンジカなどの捕獲を目的としたトラバサミの使用は、環境大臣が禁止する猟法に指定されています。

ただし、例外として、学術研究、鳥獣被害の防止、特定鳥獣の個体数調整などの目的で、環境大臣の許可を得た場合に限り、使用が認められています。さらに、トラバサミ（特に、歯の付いたものや、内径が12cm以上のもの）は危険猟法に指定されており、許可を得る際には、より厳格な審査が行われます。許可を得るには、環境大臣による危険猟法の許可も必要となります。

その他の国々における状況

日本以外にも、ドイツやスイスなどではトラバサミの使用が全面的に禁止されています。一方、カナダ、ロシア、アメリカ、オーストラリアなど、毛皮産業が盛んな国々では、依然として使用が認められている場合があります。EUでは原則禁止されていますが、オーストリアなど一部の国では制限付きで使用が認められるなど、加盟国間の規制状況は統一されていません。

歴史的には、第一次世界大戦において、トラバサミが防御兵器として使用されたという記録もあります。敵軍の突撃を阻止するために、多数のトラバサミが塹壕に設置され、多くの兵士が負傷したと言われています。

まとめ

トラバサミは、その強力な捕獲力ゆえに、動物への残酷性や人身事故のリスクが伴う危険な罠です。そのため、世界各国でその使用は厳しく規制されており、日本においても原則禁止となっています。動物愛護の観点から、そして人々の安全を守るためにも、トラバサミの使用には細心の注意と厳格な管理が必要不可欠です。今後も、その使用に関する議論は継続していくと考えられます。

もう一度検索