トリジャター

トリジャターの物語

トリジャター（梵: त्रिजटा, Trijaṭā）は、インド古代の叙事詩『ラーマーヤナ』に登場する重要なキャラクターです。彼女は年老いた羅刹女でありながら、心優しい性格を持ち、物語中で様々な役割を果たします。特に印象的なのは、彼女がラーヴァナの滅亡を予知する夢を見たことです。

トリジャターの夢

トリジャターは、幸福をもたらす夢を見たり、逆に不吉な夢を見たりと、感受性の強い人物でした。彼女が見たラーヴァナに関する夢は、常に死や不幸を象徴し、彼の未来を暗示していました。たとえば、彼女は夢の中でラーヴァナが頭を剃り、香油にまみれる姿を目撃します。これは死の前兆として捉えられ、そして彼がロバに乗り南の方角へ進むことなど、さらなる不吉な暗示が続きます。この南向きの進行は、不幸を示す方角とされていました。

また、トリジャターは夢の中でランカーの城門が破壊され、都市が海に沈む様子や、灰に変わる光景を目撃します。このような夢は、彼女がシーターをどうにかして救おうとする動機にもつながります。

シーターへの助け

トリジャターは、捕らわれたシーターを労わる役割も担っており、希望を失いかけているシーターを勇気づける存在となりました。特に、シーターがインドラジットの攻撃で負傷したラーマやラクシュマナを目の当たりにした際、彼女は彼女を助けようと努めます。トリジャターの優しさは、理解と支えに満ちており、彼女自身の不安を抱えながらも、シーターに寄り添う姿勢が光ります。

『マハーバーラタ』での役割

一方、『マハーバーラタ』においてのトリジャターは異なる描かれ方をしています。彼女は年老いた羅刹女としての特徴は強調されず、むしろアヴィンディヤという賢明なラークシャサが持つ知恵を伝える役割を果たしています。この中で、シーターにラーマが猿王スグリーヴァと連携して自分を助ける計画を立てていることを知らせます。また、ラーヴァナによって呪われたことにも触れ、無抵抗の女性に手を伸ばすことができないと告げることで、シーターを安心させます。

トリジャターは、ラーヴァナの悪行に関わる予兆を伝えていることもあり、戦争の結果として彼女はラーマから名誉と富を受け取ることになります。

まとめ

トリジャターのキャラクターは、彼女の優しさと勇気、予知能力によって物語の進行に大きな影響を与えます。彼女は単なる年老いた羅刹女ではなく、知恵と情感を持った存在であり、特に生存者のシーターにとっては、希望の象徴でもあります。彼女の物語を通じて、悪が滅びる兆しや愛の力がどのように作用するかが描かれています。

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