トレス台

トレス台（ライトボックス）とは

トレス台、またはライトボックスとは、主にイラストや漫画の原稿を複写（トレース）するために使用される道具です。原稿を透かして見ることができるように、内部に光源が備わっているのが特徴です。

構造と使用方法

複写する際には、まず複写したい原稿（通常は薄い紙）をトレス台の上に置き、その上から複写先の紙を重ねます。トレス台内部の光源が紙を透過することで、下の原稿が透けて見えるようになります。この状態で、ペンや鉛筆などで複写先の紙に原稿の線をなぞることで、正確に複写を行うことができます。

多様な用途

トレス台は、単に原稿を複写するだけでなく、様々な用途で活用されています。

スクリーントーンの切り出し: 濃度の濃いスクリーントーンをカットする際、下の原稿を見ながら作業することで、正確に切り出すことができます。
アニメーション制作: アニメーターが動画を作画する際、前の絵を透かして見ながら次の絵を描くことで、滑らかな動きを表現できます。
写真鑑賞: 撮影済みのリバーサルフィルムをトレス台に置き、下から光を当てることで、色味や写りの確認が容易になります。また、デジタルカメラの画像管理ソフトには、複数の画像をライトボックス上に並べて表示・比較できる機能も搭載されています。
製図: 製図作業において、正確な線や図形を書き写すために使用されます。

業務用トレス台

アニメ制作スタジオや製図の現場などでは、机とトレス台が一体化した「ライトテーブル」が使用されることがあります。特に日本のアニメスタジオでは、「動画机」と呼ばれるものが一般的で、三起社などが製造しています。

LEDトレス台（ライティングボード）の登場

2000年代までのトレス台は、蛍光灯を光源とし、その上に乳白色のガラスやアクリル板を置いた、箱型のものが主流でした。しかし、これらのトレス台は、大きく、重く、輝度ムラがあり、熱を持ち、電力消費も大きいという欠点がありました。また、価格も比較的高価でした。

2010年代に入ると、LEDを光源としたトレス台が登場しました。LEDトレス台は、厚さが5mm程度と薄く、多数のLEDが敷き詰められているため輝度ムラがなく、光量や角度を調整できるようになりました。また、充電式で携帯できるようにもなり、従来の「台」や「箱」というイメージから「板」というイメージに変化したため、「ライティングボード」とも呼ばれるようになりました。価格も大幅に下がり、A2サイズでも数千円程度、小さいものだと数百円で購入できるようになりました。最近では、100円ショップでも販売されていたり、雑誌の付録として付いてくることもあります。

LEDトレス台は、その薄さと均一な光によって、フィギュアの撮影ブースやお立ち台など、簡易的な面光源としても利用されることがあります。

関連事項

シャウカステン: 医療用X線写真などを表示するための縦型の装置で、トレス台と同様に光源を利用してフィルムを透かして見るものです。
トレーシングペーパー: トレス台と一緒に使用される、半透明の紙です。

まとめ

トレス台は、原稿の複写からアニメ制作、写真鑑賞、その他様々な用途で活用される便利なツールです。特にLEDトレス台の登場によって、より手軽に、より便利に利用できるようになりました。その汎用性の高さから、今後も様々な分野での活躍が期待されます。

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