ドッグソルジャー

ドッグソルジャー：元グリーンベレーの孤高の戦士の物語

『ドッグソルジャー』は、猿渡哲也によって描かれた、高い人気を誇る日本の漫画作品です。集英社の『月刊ベアーズクラブ』および『ビジネスジャンプ』にて連載され、全12巻で完結しています。

本作の主人公は、ジョン・キョースケ・飛葉。ハワイ出身の日系三世で、アメリカ陸軍グリーンベレーに所属していた凄腕の特殊部隊員です。グリーンベレー在籍中は、不正規戦において類まれな才能を発揮し、数々の勲章を授与されています。その功績は、単独工作によるものであり、未だ破られていない記録として残されています。

しかし、政府の不正や裏切り行為に失望した飛葉は、軍を去り、日本の借家に身を潜める生活を送っていました。ガスや電気も止まり、インスタントラーメンを固形燃料で食べるなど、極めて貧しい暮らしを強いられています。そんな彼のもとに、UCIA（内閣調査室）室長の武智幸夫と、武智の側近である元自衛隊レンジャー部隊員の不動正美が現れ、極秘任務を依頼するところから物語は始まります。

飛葉の圧倒的な戦闘能力は、フォート・フラッグでの鍛錬によって磨かれたものです。二十数種類の格闘技をマスターしており、中でもカポエラを得意としています。しかし、普段の彼は漢字を見ると頭痛がするなど、意外な弱点も持ち合わせています。彼のアーミーナイフは、幼い頃にテロで亡くなった両親の遺品であり、そのナイフを手にした飛葉は、テロリストへの復讐を誓います。

飛葉と共に戦うことになるのは、不動正美です。武智の側近として仕えていましたが、武智のやり方に疑問を抱き、飛葉と行動を共にするようになります。飛葉とは対照的に巨体であり、飛葉からは「ゴリラ」と呼ばれることも。

物語を彩るもう一人の重要なキャラクターが、赤木美奈子です。女性フォトジャーナリストである彼女は、ある暗殺現場を目撃し、命を狙われるようになります。飛葉の保護を受けることとなり、以後、スクープを追い求める傍ら、飛葉の任務をサポートすることになります。飛葉とはいつも小競り合いを繰り返しながらも、信頼関係を築き上げていきます。

一方、物語の敵役として、様々な勢力が登場します。その中でも主要な敵組織は、日本赤狼軍です。彼らは右傾化軍国主義化を進める政府を批判し、テロ活動を行う過激派集団です。

飛葉は、政府からの「T・O・P指令」という、敵を見つけ次第抹殺しても良いという極秘指令の下、数々の困難に立ち向かいます。武智はしばしば、国益や名誉を優先した卑劣な命令を下し、その犠牲者が出るたびに飛葉は、復讐という形で武智へ報復を行います。

本作は、単なるアクション漫画にとどまらず、国家の闇や正義、そして人間の業を深く掘り下げた作品です。主人公の葛藤や、周りの登場人物たちの複雑な人間関係、そして、緊迫感あふれる戦闘シーンが、読者を物語の世界へと引き込んでいきます。

1989年には、『ドッグソルジャー DOG SOLDIER:SHADOWS OF THE PAST』というタイトルでオリジナルアニメが制作されており、神谷明、郷里大輔、屋良有作など、豪華声優陣が出演しています。漫画版と同様に、高い人気を博しました。

『ドッグソルジャー』は、アクション、サスペンス、そして人間ドラマが凝縮された、まさに傑作と言えるでしょう。一度読み始めたら、止まらない魅力が詰まった作品です。

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