ナショナル・セキュリティ

概要

『ナショナル・セキュリティ』（National Security）は、2003年にアメリカ合衆国で製作され公開されたアクションコメディ映画です。全く異なる性格と背景を持つ二人の男が、予想もしない形で出会い、反発し合いながらも共通の敵に立ち向かう中で奇妙な絆を築いていく物語が描かれます。

ストーリー

物語の中心となるのは、かつて優秀な警察官であったハンク・ラファティと、警備員を目指していたものの不真面目な性格が災いして挫折したアール・モンゴメリーです。

ハンクは、目の前で相棒を非情な強盗犯に殺害されたという悲しい過去を引きずっています。その事件以来、彼は正義感が強く、時に融通が利かない一面を持つようになりました。一方のアールは、警察官になる夢を抱きポリスアカデミーに通っていましたが、規律を守らず、授業中に事故を起こすなど問題行動が多く、やがて退学してしまいます。彼はまた、特異体質として深刻な蜂アレルギーを持っています。

ある日、ハンクは街中でアールに職務質問を行います。しかし、偶然そこに現れた一匹の蜂が引き起こした予期せぬアクシデントが、この二人の運命を大きく狂わせます。このトラブルの一部始終が一般市民によってビデオ撮影され、あたかもハンクがアールに対して不当な暴力を振るっているかのように編集されて公開されてしまったのです。この映像が原因で、ハンクは職務質問中の暴力行為という誤解を招き、警察官を解雇された上、不本意ながら6ヶ月の実刑判決を受けて服役することになります。

刑務所での困難な日々を、持ち前の要領の良さで乗り越え、無事に出所したハンクは、小さな民間の警備会社で働き始めます。一方、アールもまた、別の警備会社に所属していました。一度はハンクを刑務所送りにしたアールに対し、ハンクは強い反感を抱いており、二人の関係は最悪の状態でした。

しかし、ある夜、ハンクは偶然、何者かが倉庫を襲撃している現場を目撃し、単身で内部に乗り込みます。そこで彼が出会ったのは、まさに因縁の相手、アールでした。アールもまた、別のルートから同じ倉庫に潜入していたのです。

倉庫を襲撃していた犯人グループとの間で、ハンクとアールは否応なく共闘することになります。最初はお互いを毛嫌いし、事あるごとに対立しますが、共通の危険に直面し、徐々に相手の意外な一面を知るにつれて、わずかながらも協力関係が芽生え始めます。

彼らは倉庫襲撃事件の真相を追う中で、これが単なる強盗事件ではなく、その裏に巨大な犯罪組織と悪の陰謀が潜んでいることを知ります。ハンクは相棒の仇とも繋がりうるこの事件に深く関与し、アールもまた、持ち前の破天荒な発想と行動力で捜査を引っかき回しつつ、意外な形で貢献します。反発し合いながらも、互いの欠点を補い合い、強敵に立ち向かっていく二人の予測不能な追跡劇が始まります。

登場人物

アール・モンゴメリー（演：マーティン・ローレンス）
警備員。元ポリスアカデミー生だが、不真面目な性格と事故により退学。ユーモアを愛し、大事な局面でもふざけることがある。勤務中に職務を怠るなど奔放だが、蜂アレルギーという弱点も持つ。時に荒唐無稽な行動が事態を動かす。

ハンク・ラファティ（演：スティーヴ・ザーン）
元警察官。相棒を強盗に殺害された過去を持つ。不運な出来事により警察を解雇され、服役後、警備員となる。本来は真面目で機転が利くが、アールとの関わりの中で、彼自身も予測不能な行動に出ることがある。

マクダフ（演：コルム・フィオール）
事件に関わる刑事。

ワシントン（演：ビル・デューク）
ハンクの元上司である警部補。

ナッシュ（演：エリック・ロバーツ）
物語の黒幕である犯人グループのボス。

チャーリー（演：ティモシー・バスフィールド）
ハンクの元相棒。過去の事件で命を落とした。

デニース（演：ロビン・リー）
ハンクの恋人。元看護婦。

スタッフ

監督：デニス・デューガン
製作：マイケル・グリーン、ロバート・F・ニューマイヤー、ジェフリー・シルヴァー
製作総指揮：モリッツ・ボーマン、ガイ・イースト、マーティン・ローレンス、ナイジェル・シンクレア
脚本：ジェイ・シェリック、デヴィッド・ロン
撮影：オリヴァー・ウッド
編集：デブラ・ニール＝フィッシャー、パトリック・J・ドン・ヴィト
音楽：ランディ・エデルマン

この映画は、マーティン・ローレンス演じるアールのコメディセンスと、スティーヴ・ザーン演じるハンクの真面目さの中に垣間見えるユーモアが組み合わさることで生まれる、対照的な二人の掛け合いが見どころとなっています。サスペンス要素を含みつつも、軽快なテンポで描かれるアクションとコメディが楽しめる作品です。

もう一度検索