ハステロイ

ハステロイ（HASTELLOY）は、アメリカのヘインズ社（Haynes International, Inc）が開発した、ニッケルを主成分とする耐食性・耐熱性に優れた合金の商標です。その高い性能から広く利用されており、日本では一般名化しています。

ハステロイは、ニッケルにモリブデン、クロム、鉄などを添加することで、それぞれの特性を高めています。成分の配合比率によって、ハステロイB、ハステロイCなどの種類が存在します。これらの合金は、析出硬化型のニッケル基合金に分類され、特に耐酸化性と耐熱性に優れている点が特徴です。

ハステロイの特徴

優れた耐食性: 酸やアルカリ、海水など、さまざまな腐食環境下でも高い耐食性を維持します。
優れた耐熱性: 高温下でも強度を保ち、熱による劣化が少ないため、高温環境での使用に適しています。
高い耐酸化性: 高温下での酸化による劣化が少ないため、長期間にわたる使用が可能です。

ハステロイの種類と組成

ハステロイには、成分の配合比率によってさまざまな種類が存在します。代表的なものとして、以下の種類があります。

ハステロイB: モリブデンを多く含み、還元性酸に対する耐食性に優れています。
ハステロイC: クロムを多く含み、酸化性酸に対する耐食性に優れています。

種類	[ニッケル]] (Ni)	[[モリブデン]	[クロム]	[鉄]	その他
-	-	-	-	-	-
ハステロイB	およそ62%	およそ28%	およそ1%	およそ2%	[タングステン], [コバルト]など
ハステロイC	およそ54%	およそ16%	およそ16%	およそ4%	[タングステン]など

ハステロイの用途

ハステロイは、その優れた耐食性・耐熱性から、さまざまな分野で利用されています。主な用途としては、以下のようなものが挙げられます。

化学プラント: 化学薬品を扱う配管や反応容器など、腐食性環境下での使用。
石油・ガスプラント: 海水や硫化水素など、腐食性の高い環境下での使用。
航空宇宙分野: ジェットエンジンの燃焼室など、高温環境での使用。
医療分野: インプラント材料など、生体適合性が求められる用途。
原子力分野: 原子炉内部など、特殊な環境下での使用。

ハステロイの注意点

ハステロイは、耐食性や耐熱性に優れていますが、物理的な強度やクリープ強度、疲労強さは特段強いわけではありません。そのため、構造材としての使用には適していません。また、加工が難しいという点も注意が必要です。

日本国内での製造

日本国内では、MMCスーパーアロイ社（三菱マテリアルグループ）や大同特殊鋼株式会社などが、ハステロイに相当する合金を製造しています。

出典

ヘインズ社（英語HP）
MMCスーパーアロイ社（三菱マテリアルグループ）
株式会社タカヤマ

外部リンク

ヘインズ社（英語HP）
MMCスーパーアロイ社（三菱マテリアルグループ）
株式会社タカヤマ

ハステロイは、その優れた特性から、さまざまな産業分野で必要不可欠な材料となっています。今後も、新しい用途の開発が進み、さらなる発展が期待されています。

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