バイナリエディタ

バイナリエディタとは

バイナリエディタ（Hex editor）は、コンピュータ上のバイナリファイルを閲覧・編集するためのソフトウェアです。ファイルの内容を、人間が理解しやすい形式（テキストや画像など）ではなく、生のバイトデータ（16進数）として表示し、編集することを目的としています。

類似のソフトウェアとしてディスクエディタがありますが、こちらはハードディスクやメモリカードなどのストレージデバイスのバイナリ情報を直接操作するものであり、対象範囲が異なります。

バイナリエディタの役割

通常、ファイルは特定のフォーマットに従って構造化されており、対応するアプリケーションソフトウェア（例えば、HTMLファイルはブラウザ、画像ファイルは画像ビューア）を用いて利用されます。しかし、バイナリエディタは、これらのファイルフォーマットを無視し、ファイルの生データを一律に表示・編集することが可能です。

これにより、以下のような操作が実現できます。

ファイルフォーマットが不明なデータの中身を確認する
ファイルの一部を直接書き換えて、動作を検証する
ファイルの破損を修復する
ファイルの暗号化・復号化を行う
プログラムの実行ファイルを修正する

バイナリエディタの表示形式

一般的なバイナリエディタは、以下のような情報を複数行にわたって表示します。

番地情報：ファイル上の絶対的な位置を示すアドレス（通常は16進数で表示）。
バイナリ情報：その番地に格納されているバイトデータを16進数で表現したもの。
テキスト情報：同じ番地のデータを、特定の文字コード（例えばASCIIコード）に基づいてテキストとして表示したもの。これにより、テキストデータが含まれている部分を視覚的に確認しやすくなります。

代表的なバイナリエディタ

バイナリエディタは、様々なOS向けに様々なソフトウェアが存在します。以下に代表的なものを紹介します。

Unix/Linux

Emacs：テキストエディタのEmacsにはHexlモードが搭載されており、バイナリ編集が可能です。
HexEdit：コマンドラインベースのシンプルなバイナリエディタです。
hex：コマンドラインで動作するバイナリエディタ。
hexdump：ファイルのバイナリデータを閲覧するコマンド（編集は不可）。
hi：cursesベースのバイナリエディタ。
od：ファイルのバイナリデータを閲覧するコマンド（編集は不可）。
bvi：viライクな操作が可能なバイナリエディタ。
[N]Curses Hexedit：cursesライブラリを使用したバイナリエディタ。

Windows

BZ：オープンソースのバイナリエディタ。
Dump4w：シンプルなインターフェースを持つバイナリエディタ。
Power Witch the Royal：高機能なバイナリエディタ。
Stirling：高機能で定評のあるバイナリエディタ。
WinHex：多機能でプロフェッショナル向けのバイナリエディタ。
ViVi：テキストエディタViViのバイナリモード。
うさみみハリケーン：国産のバイナリエディタ。

Mac

HexEdit：macOS向けのシンプルなバイナリエディタ。
HexEditor：macOS向けのバイナリエディタ。
turboJetEdit：macOS向けのバイナリエディタ。

関連項目

* バイナリエディタの比較：各種バイナリエディタの機能や使い勝手を比較した記事や情報があります。

注意点

バイナリエディタは、ファイルの中身を直接書き換えることができるため、使用には注意が必要です。誤った操作を行うと、ファイルを破損させたり、プログラムが正常に動作しなくなる可能性があります。重要なファイルを編集する際は、必ずバックアップを作成するようにしてください。

バイナリエディタは、プログラミングやシステム管理など、専門的な分野で活用されることが多いツールです。しかし、その原理を理解することで、コンピュータの内部構造に対する理解を深めることができます。

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