パラカヌー

パラカヌーの紹介

パラカヌーは、身体に障害を持つ選手たちが競技するカヌーの一種であり、国際カヌー連盟（ICF）と国際アウトリガー連盟（IVF）のもとで運営されています。この競技は、2016年のリオデジャネイロ・パラリンピックから正式にパラリンピックの競技種目として採用されました。

競技用具

パラカヌーで使用されるカヌーは主に二種類あります。ひとつはカヤックで、水をとるブレードが両端に装着されているパドルを用い、選手は艇の左右を交互に漕いで進みます。もうひとつはヴァーと呼ばれるアウトリガーカヌーで、片側に浮力体が取り付けられています。ヴァー用パドルには片側にプレード、もう片側にはT型ハンドルが取り付けられています。

クラス分け

パラカヌーでは、選手の障害に応じたクラス分けが行われます。カヤック種目はKL1からKL3、ヴァー種目はVL1からVL3のクラスに分かれており、障害の程度が重い選手はKL1やVL1に分類され、身体の機能に応じてそれぞれのクラスで競技します。

• - KL1 / VL1: 胴体を動かせず、腕や肩だけで操作する選手。
• - KL2 / VL2: 胴体と腕は使えるが、下肢が不自由な選手。
• - KL3 / VL3: 腰と胴体、腕を使ってカヌーを操作できる選手。

競技ルール

パラカヌーの競技形式には、オリンピックのカヌーのようなスプリント種目と、スラローム種目がありますが、現在、パラカヌーの国際大会とパラリンピックではスプリント種目のみが実施され、200メートルの直線コースでタイムを競う形となります。

パラカヌーの歴史

カヌー競技そのものの歴史は1930年から始まっていますが、パラカヌーの歴史は比較的浅く、2010年に初めてパラカヌー世界選手権が開催されました。この際、国際パラリンピック委員会がパラカヌーをパラリンピック種目に追加することを決定し、2016年のリオデジャネイロ・パラリンピックでシングルカヤック競技が行われました。

日本での導入

日本でもパラカヌーは着実に普及してきました。1991年に奈良県五條市で初めて障害者カヌー体験会が実施され、1995年には障害者カヌー協会が設立されました。同年、大分県で日本初の本格的な競技大会も開催されています。2012年には大阪府でスプリント種目の大会も行われ、日本代表選手が国際大会に参加する機会も増えてきました。

国際大会と国内大会

毎年開催されるパラカヌー世界選手権や、カナダで行われた2009年のカヌースプリント世界選手権ではパラカヌーが公開競技として実施されました。日本でも、日本障害者カヌー協会が主催する日本パラカヌー選手権大会が毎年行われ、選手たちの腕を競う場にもなっています。

参考文献

こちらの内容は、坂光徹彦、牛尾会による「パラカヌー」に関する詳細な研究をもとにしています。さらに日本パラカヌー連盟と国際的な機関の資料も参考にしています。

もう一度検索