ピノタージュ

ピノタージュは、南アフリカ共和国で生まれた赤ワイン用のブドウ品種です。1925年、ステレンボッシュ大学の教授であったアブラハム・アイザック・ペロード氏によって、ピノ・ノワールとサンソー（エルミタージュ）を交配して開発されました。ピノ・ノワールの繊細さと、サンソーの栽培しやすさを兼ね備えることを目指した品種です。

名前の由来は、交配親であるピノ・ノワールとエルミタージュ（サンソーの別名）からそれぞれ取られています。1941年に初めて商業的な植樹が行われ、1961年には商品化されました。

しかし、その道のりは平坦ではありませんでした。1976年には、イギリスの評論家からアセトンのような匂いがあると酷評され、栽培面積が減少する時期もありました。その後、醸造技術の向上や栽培方法の改善により、その独特の風味が再評価されるようになり、現在では南アフリカにおける主要な赤ワイン用品種の一つとして定着しています。

現在、ピノタージュは南アフリカにおいて、カベルネ・ソーヴィニヨン、シラーに次いで第3位の栽培面積を誇ります。南アフリカ以外での栽培例は非常に少ないのが現状です。

ピノタージュは、生育が旺盛で多産な品種であるため、高品質なワインを造るためには収量制限が不可欠です。収量を抑えることで、ブドウの持つポテンシャルを最大限に引き出すことができます。

ピノタージュから造られるワインは、プラムやラズベリーのような果実味に、スモーキーなニュアンスが加わった独特の風味が特徴です。このスモーキーな香りは、ピノタージュならではの個性として知られています。

また、ピノタージュは、他の品種とブレンドされることもあります。特に、ピノタージュを中心として、カベルネ・ソーヴィニヨンやメルローなどをブレンドして造られるワインは、「ケープブレンド」と呼ばれ、南アフリカを代表するワインの一つとして人気を集めています。

ピノタージュは、南アフリカのワイン産業の発展とともに歩んできた品種であり、その個性的な風味は、世界中のワイン愛好家を魅了し続けています。

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