ファイバーチャネル

ファイバーチャネル（Fibre Channel）とは

ファイバーチャネル（略称: FC）は、データセンターにおけるストレージエリアネットワーク（SAN）の重要な要素として採用されているネットワーク技術です。この技術は、アメリカのANSIが承認した国際的な技術規格委員会、INCITSのT11技術委員会を通じて標準化されました。ファイバーチャネルは主に光ファイバーを利用してデータを伝送し、最大128Gb/sのスループットと100 kmの長距離伝送が可能です。さまざまな上位プロトコルがサポートされていますが、特にSCSIコマンドが広く利用されており、メインフレームとの接続にはFICONが使われることがあります。

歴史

ファイバーチャネルの概念は1988年に始まりました。最初はIPI（Intelligent Peripheral Interface）プロトコルの拡張プロジェクトとして検討され、1994年には正式に規格が承認されました。ファイバーチャネルのスループットは、初期の1 Gb/s（1GFC）から始まり、技術の進化と共に設計ごとに2倍に増加しています。

接続形態

ファイバーチャネルには、主に以下の3つのトポロジー（接続形式）が存在します。

1. ポイント・ツー・ポイント（FC-P2P）: これは最もシンプルな接続方式であり、2つの機器のみが直接結線されている形態です。

2. 調停ループ（FC-AL）: この方式では、すべての機器がループ状に接続され、スイッチなしで多くの機器を一つのループで結ぶことができます。しかし、帯域を共有するため帯域幅の制約がありますし、機器を追加したり外したりする場合には、ループ全体の通信が一時的に停止します。また、ループ内のいずれかの機器が故障すると、全体の通信が失われる危険もあります。

3. ファブリック（FC-SW）: すべての機器がファイバーチャネルスイッチに接続される形で、拡張性や性能に優れています。

プロトコル

ファイバーチャネルは、以下の5つの層に分かれた階層型プロトコルを持っています。

• - FC0: 物理層として、ケーブルや光ファイバー、コネクタの規定を行います。
• - FC1: データ符号化と復号の方法を定義し、8b/10bおよび64b/66bの符号化方式を採用しています。
• - FC2: データの基本単位であるフレームの組み立てやデータ転送制御を規定します。
• - FC3: 共通サービス層であり、暗号化やRAIDといった拡張機能をサポートしています。
• - FC4: プロトコル変換層で、FC0-FC3をSCSIなどの上位プロトコルへ変換するルールを確立しています。

FC0、FC1、FC2はFC-PH（ファイバーチャネル物理層）と総称されることもあります。

光伝送媒体

光ファイバーのポートフォームファクタには、SFP（Small Form-factor Pluggable）およびその拡張版のSFP+が一般的です。128GFCではQSFP（Quad Small Form-factor Pluggable）が使用されることもあります。SFPモジュールは、レシーバーポートとトランスミッターポートで構成されており、最大伝送距離はSWLで550m、LWLで10km、拡張距離で70〜100kmです。如果、ケーブルカテゴリーとスループットの組み合わせによって異なるので注意が必要です。

スイッチ

ファイバーチャネルスイッチは一般に二つのタイプに分類されます。これは標準的なものでなく、メーカーによって異なる場合があります。

• - ダイレクタースイッチ: 多数のポートを持ち、真の高可用性を提供します。コントローラの二重化により、一箇所が故障しても全体は機能し続けます。
• - ファブリックスイッチ: シンプルな構造を持ち、冗長性が少ないスイッチです。

ホストバスアダプタ

ホストバスアダプタ（HBA）は、コンピュータとファイバーネットワークを接続するコントローラカードとして機能します。PCI Expressが主なバスとして使用され、これを介してホストやコンピュータがファイバーチャネルネットに参加可能です。

参考文献

ファイバーチャネルに関連するRFCとして、RFC 4369、RFC 4044、RFC 3723などがあり、これらはiFCPやMIB、ストレージセキュリティに関する管理オブジェクト等を規定しています。ファイバーチャネルに関連する他の技術として、FCoE、SCSI、iSCSIなどがあります。

もう一度検索