プラズマ乳酸菌

プラズマ乳酸菌について

概要

プラズマ乳酸菌（Lactococcus lactis strain Plasma）は、乳酸菌の一種で、免疫機能を支える重要な細胞であるプラズマサイトイド樹状細胞（pDC）を活性化する特性を持っています。この乳酸菌は、感染症に対する防御機能を強化する役割があることから、注目されています。

歴史

プラズマ乳酸菌は、ウイルス免疫システムにおけるpDCの活性化を目的にブレンドされた乳酸菌125菌株から発見されました。その中で最も安定してpDCを活性化したのがJCM5805株であり、これが後に「プラズマ乳酸菌」と呼ばれます。この乳酸菌は、キリンホールディングスと小岩井乳業の共同開発により、2012年に「プラズマ乳酸菌のむヨーグルト」として市場に登場しました。

研究と医療への応用

プラズマ乳酸菌は、風邪やインフルエンザ、新型コロナウイルス感染症、デング熱、ロタウイルスなどさまざまな感染症に対する効果が研究によって示されています。特にpDCを活性化する能力を持つことから、免疫細胞の活動を強化し、より効果的な免疫反応を引き起こすと考えられています。これらの研究成果は、33本の学術論文で発表され、うち17本はヒトを対象にした臨床試験結果です。これにより、プラズマ乳酸菌の効果が認められ、「感染症最新の治療2022-2024」の巻頭トピックスで紹介されるなど、高い注目を集めています。

風邪・インフルエンザに対する効果

健康成人を対象にした研究では、プラズマ乳酸菌を含むヨーグルトを10週間摂取させた結果、咳や熱っぽさといった風邪・インフルエンザの症状の発症が抑制され、免疫反応における抗ウイルス因子が増加したことが報告されています。さらに、岩手の小中学校での観察研究でも、3か月間にわたり給食でプラズマ乳酸菌を配布した結果、隣接地域と比較してインフルエンザ罹患率が低下しました。

新型コロナウイルス感染症への効果

長崎大学の研究では、新型コロナウイルス患者にプラズマ乳酸菌含有のカプセルを14日間摂取させました。その結果、嗅覚・味覚の異常が早期に改善されたとされています。この理由として、pDCの活性化によるウイルス排出の加速が示唆されています。また、国立感染症研究所とキリンホールディングスの共同研究でも、新型コロナウイルスの増殖抑制が確認されています。

デング熱とロタウイルス感染症への効果

デング熱に関する研究では、プラズマ乳酸菌を8週間摂取した結果、発熱や筋肉痛などの症状が改善されたことが発表されています。ロタウイルス感染症についても、動物実験で摂取したマウスのウイルス量が低下し、症状の緩和が見られました。

運動時の体調不良や疲労への影響

過度な運動による体調不良や疲労の蓄積を軽減するために、プラズマ乳酸菌を13日間摂取した結果、pDC活性低下の防止ができたことが報告されています。

肌バリア機能への効果

プラズマ乳酸菌を8週間摂取することで、肌の水分保持に関する遺伝子を増強し、肌の免疫機能を向上させたことが確認されています。

安全性

プラズマ乳酸菌は、安全性の観点からも評価されています。通常量の5倍量を摂取しても有害事象は確認されず、長期的な摂取においても安心して使用できることが示されています。

ワクチン開発と機能性食品

プラズマ乳酸菌は、呼吸器ウイルスに対する自然免疫誘導型ワクチンの研究開発が進行中であり、機能性表示食品としての利用でも高い評価が得られています。

社会貢献への利用

新型コロナウイルスの影響下、プラズマ乳酸菌は社会貢献活動に利用され、エッセンシャルワーカーへの飲料寄贈や教育教材の提供などさまざまな取り組みが行われています。

結論

プラズマ乳酸菌は、免疫增强の観点から大きな可能性を持つ食品素材であり、その研究や応用は今後も注目されることでしょう。

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