ヘアピン

ヘアピンの概要

ヘアピンは、髪を束ねるための留め具として広く利用されています。日本の伝統的な簪（かんざし）とは少し異なり、実用性に特化したデザインが特徴です。役割としては、髪をまとめるだけでなく、カールやウェーブを作るための道具としても用いられます。また、帽子やヘアネット、その他の髪飾りを固定するのにも使用されることがあります。ヘアピンは単独でも使用されますが、複数のヘアピンを交差させたり重ねたりして利用することもあり、これが「クロスヘアピン」として知られるスタイルです。主に女性によって使われますが、髪が長い男性にも利用されています。さらに、髪の固定力を高めるためにバレッタというスタイルのヘアピンもあります。

ヘアピンの歴史

ヘアピンはその歴史が古く、古代エジプトでは食事中に髪が落ちないようにといった実用のために使用されていました。当時の形状は直線的で、髪に刺す形式だったことがその特徴です。現在見られるような髪をはさむデザインのヘアピンは、イギリスのエリザベス1世の時代に発明され、金属製のヘアピンの記録が残っています。

眼鏡が鼻から外れた時に壊れたり紛失したりしないために、鼻眼鏡が流行した際には、ヘアピンがその持ち運びの助けになったこともあります。この時期、眼鏡のカタログにもヘアピンが掲載されていたそうです。

日本においては、ヘアピンの起源が簪に由来することがわかっています。縄文時代の遺跡からは骨製の簪が発見されており、奈良時代にも使用例が記録されています。しかし、平安時代になると結髪よりも垂髪が重視され、簪の使用は減少していきました。江戸時代には再び結髪が流行し、簪が復活して一般的に使用されるようになっていきます。1910年代には、日本に電熱パーマネントウェーブ機が輸入され、同時にヘアのはさむタイプのボブピンが取り入れられました。1950年代から1960年代には、家庭で簡単にカールを作るための「ピンカール」という技法が広まり、ヘアピンが大いに活用されました。

ヘアピンの種類

ヘアピンは多様な種類があり、メーカーによって呼称や分類が異なることがあります。以下に一般的な種類を挙げます。

• - スモールクリップ: 小型のクリップ式ヘアピン。
• - シングルピン: 一つのピンで髪を固定するシンプルな形状。
• - ダブルピン: ピンの刃先が二つに分かれたクリップ型。
• - スリーピン（パッチン留め）: 三角形型のピンで、アメピンよりも多くの毛量を留めるのに適しています。
• - アメピン（Grip、Bobby pin）: 一般的なデザインのヘアピンで、最も普及しています。
• - ヤナギピン: 全体が柳の葉のように弧状になったタイプ。
• - ボビーピン: 中間部に段々が付いており、滑り止め効果があります。
• - スモールピン: 短めのデザインで、髪を取り込む部分が短くなっています。
• - オニピン、Uピン、毛ピン: U字型で、髷やヘアネットを留めるために使われます。
• - スティックピン: 待ち針のような形状で、髪巻き用のロッドを留める際に用いられます。

このように、ヘアピンは古代から現代にかけて、多様な形状や用途で進化してきました。

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