ボルサリーノ

ボルサリーノ（Borsalino）

ボルサリーノは、1857年にイタリアのアレッサンドリアで創業された著名な帽子メーカーです。創立者のジュゼッペ・ボルサリーノが立ち上げたこのブランドは、現在に至るまで、伝統的な手作りのスタイルを守りながら、現代の技術も取り入れています。特に、中折れ帽（ソフト帽）やパナマ帽が有名ですが、そのレパートリーはそれにとどまりません。チロルハットやハンチング帽、ベレー帽の他にも、サファリ帽やバイク用のヘルメット、さらにはスカーフやネクタイ、手袋など、多岐にわたる製品を展開しています。驚くべきことに、自転車製造にも携わっているのです。

ボルサリーノは、フランスとの地理的な近さや文化的な影響もあり、映画『ボルサリーノ』の制作にも影響を与えました。この映画は、ブランドが持つスタイリッシュでユニークなイメージを強調する歴史的な作品として知られています。しかし、その栄光の影には、経営の厳しさも潜んでいました。2015年には、イタリアのメディアでボルサリーノ社の倒産の危険性が報じられ、結果的に2017年12月に破産手続きを開始しました。経営権はHaeres Equita社に移行され、新たなブランディングや生産体制が確立されるとともに、雇用の維持や国内生産の継続が約束されました。

2018年には、Haeres Equitaがボルサリーノの資産をオークションで取得し、同ブランドは完全に子会社化されました。日本市場においては、イタリアから輸入された本物の製品と、国内メーカーがライセンスを得て製造した商品が存在し、特に野球帽やベレー帽が人気を集めています。中でも、ソフト帽は本国製が主流となっています。

また、ボルサリーノブランドは日本の文化にも深く根付いています。1969年に公開された映画『ボルサリーノ』に出たアラン・ドロンとジャン・ポール・ベルモンドによりその名が広まり、ソフト帽は「ボルサリーノ帽」とも呼ばれるようになりました。テレビアニメ『ルパン三世』でも、キャラクターの次元大介が常に身につけている帽子として認識されています。更に、真島昌利のシングル「アンダルシアに憧れて」でもその名が取り上げられるなど、文化的な側面でも注目を浴びています。

近年では、香取慎吾と祐真朋樹によるブティック「JANTJE_ONTEMBAAR」でボルサリーノとのコラボ商品が販売されるなど、ファッション界でも人気が再燃しています。ボルサリーノというブランドは、その伝統とスタイルを守りながらも、変化し続ける魅力を持っているのです。世界中のお洒落な人々から、今も愛され続けているボルサリーノの帽子は、ただのファッションアイテムに留まらず、歴史と文化を語るシンボルでもあります。

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