ボルダリング

ボルダー：クライミングの新しい形

ボルダーとは、クライミングの一種であり、最小限の道具、すなわちクライミングシューズとチョークのみで岩や人工壁を登るスポーツです。「岩の塊」や「大きい丸い岩」を意味する英語に由来しています。初めはフリークライミングのトレーニングとして発展しましたが、クライマーが安全確保を行わなくなり、より本質的に岩を登ることに専念できるようになりました。このシンプルな装備により、誰でも手軽に始められるため、多くのクライマーがボルダーを中心に活動するようになり、この運動は独立したフリークライミングの形態として成長してきました。

日本では以前「ボルダリング」という名前で知られていましたが、2023年2月10日に日本山岳・スポーツクライミング協会が発表した通り、2023年4月1日から正式に「ボルダー」という名称に変更されました。この変更は、ボルダーの人気をより広めることを目的として行われています。

また、家の壁を強化・改修し、つかむためのホールドを取り付けて室内でボルダーを楽しむ人も増えています。2021年には、2020東京オリンピックにおいて、ボルダーも含むスポーツクライミングが正式競技として採用されたことから、さらなる注目を集めています。

課題とグレード

ボルダーには、課題の難易度を示すグレードが設けられており、様々な形式があります。日本式の段級グレード、ヨーロッパ式のフレンチグレード、アメリカ式のVグレードなどがよく使用されています。これらのグレードにより、各クライマーは自分の能力に応じた課題に挑戦することができます。

クラッシュパッドと安全対策

ボルダーを行う際には、墜落時の安全を考慮してクラッシュパッドという携帯式のマットを使用します。このマットは主に怪我を防ぐために設計されており、特に前倒壁での登攀時には、背中や頭の保護にも役立ちます。ただし、クラッシュパッドは衝撃を吸収する性能は持っておらず、あくまで補助的な役割を果たします。

また、複数名でボルダーを楽しむ場合、スポッターと呼ばれる人が補助することがあります。スポッターはクライマーが墜落しそうになった時に支えたり、安全に着地するための手助けをしたりします。スポッターには注意点が多く、墜落時に自らが下敷きにならないよう常に注意を払う必要があります。複数のクラッシュパッドを用意し、重ねることで安全性を高めることも一般的な方法です。

ボルダー競技

日本での代表的なボルダー競技には、B-Sessionがあります。この大会は年間を通じて行われ、登攀した課題の数によって順位が決まります。B-Sessionではインドアクライミングが行われ、毎回新たに設定された課題に選手が挑戦します。加えて、日本山岳・スポーツクライミング協会が主催するボルダリングジャパンカップもあり、こちらは2005年から年に一度のペースで開催されています。さらに、2008年からは国民体育大会でもボルダリングが競技種目として加わりました。

過去の年間チャンピオン（B-Session）

• - 2000年: 山崎岳彦、大岩あき子
• - 2001年: 山崎岳彦、岩田千鶴代
• - 2002年: 丸木太、岩田千鶴代
• - 2003年: 宮保雄一、野口啓代
• - 2004-2005年: 渡辺数馬、外河有紀子
• - 2006年: 渡辺数馬、野口啓代
• - 2007年: 渡辺数馬、野口啓代
• - 2008年: 堀創、小田桃花
• - 2009年: 杉田雅俊・清水淳、小林由佳
• - 2010年: 松島暁人、萩原亜咲
• - 2011年: 茂垣敬太、小田桃花

ボルダーは、シンプルな装備で楽しめるスポーツなので、初心者でも気軽に挑戦できる点が魅力です。今後のさらなる発展に期待が寄せられます。

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