ポレポレ東中野

ポレポレ東中野

東京都中野区東中野に位置するミニシアター、ポレポレ東中野は、地域に根差した多様な映画文化を発信する場として知られています。その劇場名は、入居するビルの名「ポレポレ坐」に由来し、スワヒリ語で「ゆっくり、ゆっくり」という意味を持っています。これは、慌ただしい日常の中で、じっくりと作品と向き合う時間を提供したいという願いが込められているかのようです。館内は1スクリーン、96席と小規模ながら、観客との距離が近い親密な空間を提供しています。

沿革

ポレポレ東中野の歴史は、1994年に開館した「BOX東中野」を前身としています。この映画館は、運営会社とビル所有者間の契約上の問題により、2003年4月25日に惜しまれつつ閉館しました。しかし、映画文化の灯を絶やすまいとする動きが生まれ、ビル所有者自らが新たな支配人を公募。これに応じたのが、映画配給などを手掛けるポレポレタイムス社（本橋成一主宰）でした。同社が運営権を取得し、下北沢トリウッド代表の大槻貴宏氏を支配人として迎え、「ポレポレ東中野」として2003年9月6日に再出発を果たしました。

その後、映画館の運営体制に変化が見られます。2018年8月7日には、当時の支配人であった大槻貴宏氏が株式会社ポレポレ東中野を設立。そして、同年10月より、映画館の運営はポレポレタイムス社からこの新たに設立された株式会社ポレポレ東中野へと引き継がれました。ポレポレタイムス社は、これを機にポレポレ坐ビルから移転し、新たな場所で業務を継続しています。

概要と特色

ポレポレ東中野は、現在中野区内で唯一の映画館として貴重な存在です。上映作品のラインナップには明確な特色があり、前身であるBOX東中野時代からの流れを汲み、特にドキュメンタリー映画に重点を置いています。社会の様々な側面を深く掘り下げた作品や、個々の人生に寄り添う作品など、多様な視点を持つドキュメンタリーが多数紹介されています。また、ポレポレタイムス社が手掛ける自主配給作品や、今後の映画界を担う若手監督の劇映画なども積極的に上映しており、既成概念にとらわれない、意欲的な作品選びが特徴です。

座席と設備

客席数は96席となっており、コンパクトながらも一体感のある空間です。座席の配置は、スクリーンが見やすいよう配慮されています。また、車いすでの利用にも対応しており、誰もが映画を楽しめるようバリアフリーにも配慮した設計となっています。

Space & Cafe ポレポレ坐

ポレポレ東中野が入居するポレポレ坐ビルの1階には、「Space & Cafe ポレポレ坐」があります。このカフェも、映画館と同様に株式会社ポレポレ東中野が運営を手がけています。店内はカフェスペースとイベントスペースが一体となっており、単なる休憩場所としてだけでなく、様々な文化的活動の場としても機能しています。映画関連のトークイベントやミニ上映会はもちろんのこと、アコースティックライブなど、多岐にわたるイベントが開催され、映画館と連携した文化交流の拠点となっています。映画鑑賞の前後や、イベント参加時などに気軽に立ち寄れる、開かれたスペースです。

ポレポレ東中野は、そのユニークな上映ラインナップと、カフェやイベントスペースとの連携を通じて、単に映画を観る場に留まらず、文化や人々が集まり交流する、緩やかで豊かな時間を提供し続けています。その名前の通り「ゆっくり、ゆっくり」と、映画と共に歩む地域の重要な文化施設と言えるでしょう。

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