マウスシールド

マウスシールドとは

マウスシールドとは、透明な樹脂素材で作られた口元を守る個人防護具で、主に感染症予防を目的としています。外観は透明であるため、表情や口の動きが分かりやすく、特に聴覚障害を持つ方々とのコミュニケーションに役立つとされています。このような特性から、透明マスクとも呼ばれることがあります。

歴史

透明マスクの歴史は比較的古く、1936年に発表された論文には、デュポン社によって作られた酢酸セルロース製の透明マスクが紹介されています。しかし当時の製品は呼吸が不便であったため、徐々に布製のマスクに取って代わられました。現代のマウスシールドが接客業などで使われるようになったのは、2000年代のことで、医療現場ではなく一般向けの製品が中心です。

感染症対策における効果

日本の厚生労働省健康局では、マウスシールドやフェイスシールドと不織布マスクを比較し、その効果について説明しています。具体的には、飛沫防止効果においては不織布マスクが最も高く、マウスシールドやフェイスシールドは飛沫を相手の顔に直接付着させない効果はあるものの、飛沫の飛散自体を防ぐ効果は限られているとしています。このため、特に屋内での密接な場面では、マウスシールド単体の使用を控えるよう勧告されています。

神戸市健康局も、フェイスシールドやマウスシールドを利用した場合の感染対策が不十分であると警告を発しており、十分な感染予防策にはならないと指摘しています。

マスク等との比較

理化学研究所や神戸大学、豊橋技術科学大学などによる調査では、マスク、フェイスシールド、マウスシールドの飛沫防止効果についてシミュレーションや実験が行われています。この研究によると、何も付けていない状態を基準とした場合、不織布マスクは飛沫発生を20％に抑えられるのに対し、マウスシールドの効果は90％にとどまることが示されています。さらに、吸い込まれる飛沫に対する効果も薄いという研究結果が出ています。

メリットとデメリット

メリット

1. コミュニケーション: 表情や口の動きが見えるため、聴覚障害者との対話がしやすくなります。
2. 繰り返し使用可能: 洗浄や消毒を行うことで、再利用が可能です。

デメリット

1. 感染防止効果が低い: 一般的にマスクには及ばず、感染症を防ぐためには十分とは言えません。

まとめ

マウスシールドは透明で視認性に優れるため、特定の場面では有用ですが、感染症予防の目的では不織布マスクには劣ります。そのため、使用にあたっては効果の限界や適切な利用方法を理解しておくことが重要です。透明な特性を活かしつつ、他の防護具との併用を検討するべきでしょう。

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