ミハイロフスキー劇場

ミハイロフスキー劇場：ロシアの芸術文化を彩る歴史ある舞台

サンクトペテルブルクのミハイロフスキー劇場は、オペラとバレエ公演に特化した劇場として、ロシア、ひいては世界の芸術文化に多大なる貢献を果たしてきた由緒ある舞台です。1833年、帝室ミハイロフスキー劇場として創設され、以来、数々の歴史的変遷を経て今日に至っています。

歴史と変遷: 1833年の創設当初は演劇が中心でしたが、1918年の再出発を機にオペラ公演を開始。その後、1933年にはバレエ団を創設し、オペラとバレエの両面から芸術活動を展開するようになりました。ソビエト連邦時代には「レニングラード国立歌劇場」や愛称である「マールイ劇場（小劇場の意）」として知られ、ロシア革命後の混乱期においても、芸術文化の灯を絶やすことなく活動を続けました。都市名や政治情勢の変化を反映し、劇場名も幾度となく変更されています。1920年には「The State Academic Theatre of Comic Opera」となり、その後、ペトログラード・マールイ劇場、レニングラード・マールイ劇場、レニングラード国立歌劇場などの名称を経て、2007年に現在の「ミハイロフスキー劇場」へと回帰しました。

芸術的功績: ミハイロフスキー劇場は、数々の著名な作曲家や音楽家と深く関わってきました。ドミートリイ・ショスタコーヴィチの「鼻」や「ムツェンスク郡のマクベス夫人」、セルゲイ・プロコフィエフの「戦争と平和」など、ロシア音楽史に残る作品の数々の初演をこの劇場で行われました。これらの公演は、ロシア音楽の国際的な認知度向上に大きく貢献しました。

バレエ団とオーケストラ: ミハイロフスキー劇場のバレエ団は、ワガノワ・バレエ・アカデミー卒業生を中心に構成され、その高い技術力と芸術性でロシア国内のみならず世界的に高い評価を受けています。136名から成るバレエ団は、かつては「レニングラード国立バレエ」として海外公演を行うなど、ロシアバレエ界を代表する存在として活躍しています。また、オーケストラもサンクトペテルブルク音楽院出身の優秀な演奏家から構成されており、高い演奏技術と音楽性を誇ります。かつては「レニングラード国立歌劇場管弦楽団」の名前で知られ、日本でもその名を知られています。

芸術監督の変遷: ミハイロフスキー劇場の芸術監督も、時代とともに変化し、各時代の芸術潮流を反映しています。2011年から2014年、そして2019年からナチョ・ドゥアトが芸術監督を務めるなど、国際的な視点を取り入れる動きもみられます。

愛称「マールイ劇場」: サンクトペテルブルクでは、ミハイロフスキー劇場は「マールイ劇場（小劇場の意）」の愛称で親しまれています。これは、かつてサンクトペテルブルクに存在した多くの劇場の中で、比較的規模の小さい劇場であったことに由来すると言われています。ちなみに、サンクトペテルブルクにおいて「大劇場」はマリインスキー劇場を指すのが一般的です。

ミハイロフスキー劇場の未来: ミハイロフスキー劇場は、歴史と伝統を継承しつつ、常に新しい芸術表現に挑戦し続けています。今後も、オペラとバレエの中心地として、ロシアの芸術文化を世界に発信していくことでしょう。その歴史と芸術性から、ロシアを代表する劇場として、これからも世界中の観客を魅了し続ける存在であると言えるでしょう。

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