メキシコオオカミ

メキシコオオカミ（Canis lupus baileyi）は、タイリクオオカミの亜種の一つであり、北アメリカに生息する3つの亜種の中では最も小型です。遺伝的にも他の2亜種とは異なる特徴を持っています。

成獣の体重は23〜36kg、全長は約167cm、肩高は71〜81cm程度です。体色は黄褐色、灰色、黒が混ざり合っており、北部に生息する他の亜種のように、白や黒一色の個体は存在しません。

メキシコオオカミは、砂漠地帯に生息すると考えられがちですが、実際には森林地帯に生息しています。

彼らはヘラジカなどの大型動物を狩る際には、群れ（パック）で協力して狩りを行います。また、ウサギのような小型動物も捕食します。

かつてメキシコオオカミは、アメリカ合衆国南西部（アリゾナ州南部、ニューメキシコ州南部、テキサス州西部）とメキシコに広く分布していました。

家畜への被害が問題視され、駆除の対象となった結果、1970年代にはアメリカ合衆国でほぼ絶滅状態となり、メキシコでも個体数が激減しました。

1973年にアメリカ合衆国で絶滅危惧種法が制定され、1976年にはメキシコオオカミは絶滅危惧種に指定されました。その後、保護施設での繁殖と野生復帰に向けたプログラムが開始され、1998年からはアリゾナ州とニューメキシコ州の国有林に再導入が行われています。

2010年には、野生下で50頭のメキシコオオカミの生息が確認されています。2006年時点では、アメリカ合衆国とメキシコの49の繁殖施設で約300頭（アメリカ合衆国内45施設で260頭）が飼育されています。

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