メトロ劇場

メトロ劇場：福井のミニシアター、60年以上の歴史と地域への貢献

福井県福井市順化にあるメトロ劇場は、商業ビル「メトロ会館」4階に位置するミニシアターです。1950年、日本劇場として開館し、1953年にメトロ劇場として生まれ変わりました。当初は洋画ロードショー館として営業していましたが、その後成人[[映画]]の上映館を経て、1973年頃からは名画座へと転換。1997年の改装を機に、アート系作品を中心に上映するミニシアターへと進化を遂げました。

時代の変遷と館主の想い

メトロ劇場は、昭和25年の開館以来、幾多の時代の変化を経験してきました。木造2階建てから現在の鉄筋コンクリート造4階建てへの建て替え、座席数の変更、上映作品のジャンル転換など、その歴史は変化と継続の物語です。1971年には、後の3代目館主となる根岸義明氏が劇場運営に関わり始めます。根岸氏の尽力により、劇場は現代的な設備を整え、ミニシアターとしての独自性を確立していきました。2016年には、根岸義明氏が他界し、息子の根岸輝尚氏が4代目館主を引き継ぎました。輝尚氏は東京での仕事と両立させながら、メトロ劇場の運営を続けています。

独立系ミニシアターとしての特色

メトロ劇場は、大手配給会社に左右されない独立系映画館として、独自の選定基準で作品を選び、上映しています。1978年からは観客からのアンケートを基に上映作品を決めるという、観客参加型のスタイルを確立。これにより、アート系作品からB級作品、名作映画まで、幅広いジャンルの作品が上映されるようになりました。2012～2013年には、『アーティスト』のようなアカデミー賞受賞作品から社会派ドキュメンタリーまでを上映するなど、その選定基準の幅広さがうかがえます。また、毎年8月は「平和を考える月」として、戦争や平和をテーマにした作品を多く上映するなど、社会的なメッセージの発信にも力を入れています。上映期間は2～3週間と比較的短く、常に新しい作品が楽しめるよう工夫されています。

地域社会との繋がり

メトロ劇場は、単なる映画館としてだけでなく、地域社会に根ざした活動も積極的に行っています。2000年には公式ウェブサイトを開設し、情報発信に力を入れるとともに、観客とのコミュニケーションを図っています。近年は観客の高齢化が課題となっていますが、「勤労招待券サービス」を実施し、学生に館内の清掃などを手伝ってもらうことで招待券を提供するなど、若者の参加を促す活動にも取り組んでいます。館内に設置された「メトロシネマノート」には、観客からの感想やリクエストが書き込まれ、劇場と観客との活発な意見交換の場となっています。

未来への展望

メトロ劇場は、60年以上にわたる歴史の中で、数々の困難を乗り越え、独自のスタイルを確立してきました。独立系映画館として、そして地域に愛される映画館として、メトロ劇場はこれからも、多様な作品の上映を通して、観客に感動と新たな発見を提供し続けるでしょう。 その活動は、単なる映画上映にとどまらず、地域文化の活性化にも大きく貢献しています。

基礎情報

住所：福井県福井市順化一丁目2番14号 メトロ会館4階
座席数：116席（メディアによっては117席と表記される場合あり）
* アクセス：福井鉄道福武線福井城址大名町駅より徒歩2分

もう一度検索