モデル線

モデル線およびモデル線区について

モデル線（モデルせん）およびモデル線区（モデルせんく）とは、鉄道において先進技術の実験や広報目的のために設定された「モデル」としての路線や区間を指します。本稿では、特に東海道新幹線におけるモデル線とその関連施設について詳しく説明します。

モデル線とは

東海道新幹線の建設にあたり、日本国有鉄道（国鉄）は新型車両の試験が行える「モデル線」を1959年から1964年の間に設けました。このモデル線は、神奈川県小田原市と高座郡綾瀬町付近を結ぶ約30キロメートルの区間で構成され、新幹線の本線が全線開通した後、その一部として組み込まれました。

モデル線の中心的な施設である「鴨宮基地」では、鉄道技術の実験や試乗者の受け入れが行われ、今日では「鴨宮モデル線区」と呼ばれることが多いです。

モデル線の意義

当時、東海道新幹線の建設には新技術の導入が欠かせない状況であり、そのための有用な実験地が求められていました。1959年から1964年にかけて、新型電車やサポート設備の実地テストが行われ、乗員や保守要員の養成も行われました。このモデル線がなければ、わずか5年での開業は困難であったと言われています。

公式名称と区間

当初、国鉄が発行した『東海道新幹線工事誌』ではこの試験用区間を「モデル線」または「モデル線区」として記載しています。モデル線の起点は綾瀬で、終点は鴨宮です。設計当初は綾瀬から小田原までの37キロメートルを想定していましたが、実際に試験走行が行われたのは、鴨宮から生沢間の約10キロメートルだけでした。それでも、このモデル線の存在は新幹線の技術的進歩にとって不可欠なものでした。

テスト運用と速度向上試験

1962年6月に、モデル線の初期区間で試運転が始まり、さまざまな速度向上試験が行われました。1963年3月30日には、試験用車両が256km/hを達成するに至り、高速鉄道技術の実証が行われました。この実績は、今後の新幹線運行にとって大きなデータとなりました。

鴨宮基地の役割

鴨宮基地は、新幹線の車両管理や試験、乗員の養成を行う拠点として設置され、様々なテストや試乗会が約10万人から15万人までの試乗者に向けて行われました。これにより、新幹線計画への理解と支持を得るための大きな役割を果たしました。

関連施設と土木構造物

モデル線の沿線には、変電所や信号機械室などの運行管理に必要な設備が設置され、開業後も多くの技術的検証が行われました。また、モデル線区間では高架橋及び盛土構造物が導入され、様々なデータが蓄積されることで後の設計に活かされました。

教訓と発展的解消

モデル線におけるテストや試乗の過程で得たデータや教訓は、未来の運行に多くの改善をもたらしました。1964年に全線が開通すると、モデル線はその役割を終え、同年4月にはモデル線管理区が解散されました。しかし、鴨宮ベースは新幹線保線基地として今も利用されています。

記念碑

モデル線が新幹線の発祥の地として名付けられるべき場所とされ、1974年には記念碑が設立されました。ここは、新幹線の開発や試験の重要な歴史的拠点となっています。この歴史的な意義は、今でも多くの鉄道ファンや研究者に語り継がれています。

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