モモイロインコ

モモイロインコ

オウム目オウム科に分類される鳥類の一種で、学名は Eolophus roseicapilla といいます。その名の通り、美しい桃色を主体とした体色が特徴です。英語圏では「ガラー（Galah）」という愛称で広く知られており、この呼び名はオーストラリアの先住民族であるアボリジニの言葉に由来するとされています。

分布

モモイロインコはオーストラリア大陸のほぼ全域に固有に分布しています。その生息環境は非常に多様で、自然の疎林や海岸地帯だけでなく、都市部やその周辺にある公園、さらには広大な農地など、人間が開発した環境にも巧みに適応しています。特に興味深いのは、かつて森林であった土地がヨーロッパ人の入植によって農地へと開拓されたことで、彼らの食料源となる種子が増加し、かえって個体数を増やし、分布域を拡大させたという経緯がある点です。オーストラリア大陸の南東に位置するタスマニア島にも、人為的な移入によって定着した個体群が存在します。

形態

成鳥の体長は概ね35センチメートルから38センチメートルほどです。最も特徴的なのは、頭部から胸、腹部にかけての鮮やかなピンク色で、これが和名の由来となっています。背面や翼の上面は明るい灰色をしており、尾羽は翼よりもやや淡い灰色です。頭頂部には、こちらも淡いピンク色をしたフサフサとした冠羽を持ち、興奮した際などに立てて見せることがあります。外見上、オスとメスの区別はほとんどつきませんが、成鳥の場合は虹彩の色で見分けることが可能です。オスは茶色の虹彩を持つ一方、メスは赤色の虹彩をしています。また、目の周りの皮膚が露出したアイリングの色は亜種によって異なり、基亜種では灰色ですが、他の2亜種ではピンク色を呈します。

亜種

モモイロインコには現在、以下の3つの亜種が確認されています。

• - E. r. roseicapilla：南オーストラリア州中部より西から西オーストラリア州にかけて分布する基亜種です。アイリングは灰色。
• - E. r. albiceps：クイーンズランド州中部以南からニューサウスウェールズ州、ビクトリア州を経て南オーストラリア州の東部にかけて分布する亜種です。アイリングはピンク色。
• - E. r. kuhit：クイーンズランド州中部より北からノーザンテリトリー、西オーストラリア州北東部にかけて分布する亜種です。3亜種の中では最も体が小さく、冠羽も比較的短いという特徴があります。アイリングは淡いピンク色をしています。

生態

モモイロインコの主な餌は、植物の種子や果実、根などです。通常、彼らは大きな群れを形成し、地上に降りて採餌を行います。非常に社会性の高い鳥で、群れの中には多くのペアが存在します。モモイロインコは一度ペアになると、特別な事情がない限りそのパートナーと一生添い遂げるという性質があり、採餌や休息の際にも、常にパートナーと寄り添って行動する様子がよく観察されます。繁殖期は特に特定の季節に限定されず、一年中見られる傾向があります。巣は、水辺近くにある大きな木の洞などを利用することが多いです。メスは一度に最大で5個ほどの白い卵を産み、オスとメスが協力して交代で卵を温めます。卵はおよそ25日間の抱卵期間を経て孵化し、生まれた雛鳥は巣の中で親鳥から餌をもらい、約2ヶ月ほどで飛べるようになり巣立っていきます。彼らは知能が高く、人によく慣れるため、ペットとしても人気があります。

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