ラック・ローズ

セネガルのバラ色に染まる湖、ラック・ローズ（レトバ湖）

西アフリカ、セネガル共和国のダカール州に位置するラック・ローズ、正式名称はレトバ湖は、約3平方キロメートルの広さを持つ、その名の通りバラ色に染まった湖水が特徴的な潟湖です。その美しさから「バラ色の湖（lac Rose）」という通称で広く知られています。また、かつてはパリ〜ダカール・ラリーのゴール地点としても知られ、世界中の注目を集めていました。

湖水の秘密：高塩分濃度と藻類

ラック・ローズは水深が約3メートルと浅く、低緯度に位置しているため、強い太陽光が降り注ぎます。これにより、湖水は盛んに蒸発し、塩分濃度が上昇。その濃度は最大で40%にも達し、これは海水の約10倍という驚異的な数値です。

この高塩分濃度の環境では、通常の生物は生息できません。しかし、ドナリエラ・サリナ（Dunaliella salina）という高度好塩菌の一種である藻類が大量に繁殖することで、湖水が特徴的なバラ色に染まります。この藻類は、カロテノイドという赤い色素を生成し、湖全体を幻想的な色彩で彩ります。

ラック・ローズが最も鮮やかなバラ色に染まるのは、セネガルが乾季を迎える11月から5月にかけて。この時期は水位が低下し、塩分濃度がさらに上昇するため、ドナリエラ・サリナがより活発に色素を生成します。

過酷な環境にも関わらず、ラック・ローズには魚類も生息しています。これらの魚は、湖の塩分濃度に適応するために、通常の環境で育った個体よりも小ぶりであることが特徴です。

製塩業：湖の恵み

ラック・ローズの高い塩分濃度は、製塩業を営む人々にとって貴重な資源となっています。アフリカ各地から集まった3000人もの人々が、毎日6〜7時間をかけて塩の生産に従事しています。

彼らは、塩分による肌荒れを防ぐため、シアバターノキから採れるシアバターで肌を保護しています。伝統的な知恵と工夫が、過酷な労働環境を支えているのです。

採取された塩は、主に現地で魚の保存などに利用されます。ラック・ローズは、美しい景観だけでなく、地域の人々の生活を支える重要な役割も担っているのです。

関連項目

ヒリアー湖: オーストラリアにあるピンク色の塩湖。ドナリエラ属の藻類によって色づけられています。
腐海: ウクライナのクリミア半島にある干潟で、ピンク色に染まることがあります。
* ラス・コロラダス: メキシコの漁村にある塩田で、ピンクレイクとして知られています。

ラック・ローズは、自然の驚異と人々の営みが融合した、他に類を見ない魅力的な場所です。その美しい景観は、訪れる人々を魅了し続けています。

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