レイタンス

レイタンスとは

レイタンス（laitance）とは、新たに打設されたコンクリートにて見られる薄い泥膜層を指します。この層は、主に微細なセメント粒子や骨材がブリーディング水と共にコンクリートの表面に上昇し、堆積することによって発生します。特に、過剰な水分が混入する場合に、この現象は起こりやすくなります。レイタンスの存在は、コンクリート表面を金コテなどで削ることで確認できます。

レイタンスの影響

レイタンスがコンクリート表面に残っていると、後で別のコンクリートを打ち継いだ際に、コンクリート同士の結合が妨げられます。これにより、ひび割れや構造的な強度の低下、さらには漏水や鉄筋の腐食が引き起こされることがあります。特に、レイタンス層は炭酸ガスや塩化物イオンなどの劣化因子がコンクリート内部に侵入するための経路となることも知られています。そのため、レイタンスを効果的に取り除くことが求められます。

一般的なコンクリート構造物の施工においては、コストを理由にレイタンス処理が軽視されがちですが、水路構造物や汚水処理施設などでは、その影響が特に顕著です。これらの構造物は水の流れや水位の変動に常にさらされるため、レイタンスが蓄積された部分は摩耗や損傷が進行しやすくなります。

レイタンス除去の方法

レイタンスを取り除くためには、いくつかの方法が存在します。

1. はつり: 既に硬化したコンクリートから、電動ハンマーなどを使用してレイタンス層を取り除く方法。ただし、大型構造物には向きません。

2. ブラッシング: 硬化したコンクリートの表面をワイヤーブラシで擦り、レイタンスを除去する方法です。この方法も大型構造には適していません。

3. 凝結遅延剤の散布: コンクリートが打設された後にブリーディング水が引いた時に使用されます。ジョウロなどで散布し、続いて高圧洗浄機で表面を清掃します。

4. 凝結遅延剤の塗布: 磁性方向にコンクリートを打ち継ぐ際には、型枠に塗布し、型枠を外した後に高圧洗浄機を用いて表面を洗浄します。

5. 特殊合成樹脂エマルジョンの散布: ブリーディング水が引いた後に散布し、コンクリート表面をポリマー化してレイタンス層を強化する方法です。水での処理ができない場合に適しています。

現在のレイタンス処理の状況

下水処理施設や橋梁などの大規模工事では、通常、施工管理が行き届き、レイタンス処理が施されています。一方で、一般の住宅やマンションなどの建設時には、この処理が軽視されることが多いのが現実です。その結果、レイタンス処理を怠った場合には、瑕疵責任として民事裁判に発展することもあります。特に重要な役割を果たす水密性が求められる構造物については、適切な処理が益々重要となるでしょう。

以上のように、レイタンスはコンクリートの品質や耐久性に大きな影響を与えるため、その適切な管理と処理が極めて重要です。

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