ロケットアンカー

宇宙戦艦ヤマトシリーズにおけるロケットアンカー：多様な用途を持つ宇宙用錨

概要

宇宙戦艦ヤマトシリーズに登場するロケットアンカーは、その名の通り、ロケット推進力を持つ錨と鎖状の部品から構成される架空の装備です。現実世界の船舶で使用される錨と同様の機能を持ち、宇宙空間では周辺の大きな浮遊物に、水中では海底に打ち込み、船体を固定するために使用されます。さらに、打ち込んだ錨を巻き上げることで、対象物を引き寄せるといった用途にも用いられるなど、高い汎用性を誇ります。ヤマトでは艦首部の両舷に1基ずつ装備され、シリーズを通して活躍しました。

デザインはシリーズによって多少異なりますが、オリジナルシリーズでは宮武一貴氏、 『宇宙戦艦ヤマト2199』シリーズでは玉盛順一朗氏が設定デザインを担当しました。特に玉盛氏は本装備に強いこだわりを持っており、『2199』では設定を綿密に描き込み、劇中にも反映させています。一方、シリーズによってはロケットアンカーとしての使用例が少なく、通常の錨として使用される場面が多いことも事実です。

劇中での使用例

ロケットアンカーは、シリーズを通して様々な場面で使用されました。以下に主な例を挙げます。

『宇宙戦艦ヤマト』: 冥王星の衛星への打ち込みによる減速、アステロイドベルトでのシュルツ艦への緊急固定など、危機回避に貢献しました。また、都市衛星ウルク戦では、瓦礫で塞がれた艦載機発進口を開放するために、ウインチのように使用されました。
『宇宙戦艦ヤマト2199』: 浮遊大陸への不時着時の減速、次元潜航艦からの回避行動、波動砲発射時の艦体固定など、幅広い状況下で活用されました。さらに、金剛型宇宙戦艦や磯風型突撃宇宙駆逐艦にも旧式のロケットアンカーが装備されているという設定も存在します。
『宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟』: 敵旗艦メガルーダへの打ち込みによる足止め、近接戦闘への移行など、戦闘における有効な戦術として用いられました。このシーンは、チーフメカニカルディレクターの西井正典氏らによる意図的な演出であり、ロケットアンカーを戦闘で活用できたことを関係者も高く評価しています。また、本作では「97式噴進空間錨」という正式名称が明らかになっています。
『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』: 渓谷内での艦体固定、アンドロメダ級への搭載（ヤマトのものとは異なるデザイン）、アンドロメダ改によるヤマトの曳航など、様々な場面に登場します。
小説版: 皆川ゆか氏の小説版では、金剛改型がメダルーサ級への攻撃で使用されました。

類似の装備品

他の作品にも、ロケットアンカーと類似した装備が登場します。

『それゆけ!宇宙戦艦ヤマモト・ヨーコ』: 格闘戦艦ハクホーイン・アヤノ・エリザベスが装備する重力アンカーは、重力波で敵艦を拘束し、格闘戦を有利に進めるための装備です。
* 『潜水艦スーパー99』: 非常制動魚雷は、緊急時に周囲の岩に喰い込ませて艦の衝突を防ぐ、水中用の類似装備と言えます。

結論

ロケットアンカーは、宇宙戦艦ヤマトシリーズを象徴する装備の一つであり、その高い汎用性と劇中での活躍は多くのファンに印象強く残っています。現実の錨をベースとしながらも、宇宙空間での運用を考慮した独自の機能と、シリーズを通して進化を遂げてきた歴史は、この装備の魅力をさらに高めています。また、類似装備の存在も、この種の装備がSF作品において重要な役割を果たしていることを示しています。

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