ロボット・ドリームズ

パブロ・ベルヘル監督による『ロボット・ドリームズ』は、サラ・バロンの同名グラフィックノベルを基にした2023年公開のスペイン・フランス合作アニメーション映画です。1984年の米ニューヨークを舞台に、擬人化された一匹の犬と一体のロボットが育む友情を、台詞を一切用いずに描いた作品として高く評価されています。

物語は、ニューヨークで孤独を感じていた犬のドッグが、お友達ロボットを購入し組み立てることから始まります。二人はすぐに深い絆で結ばれ、夏のニューヨークでかけがえのない日々を過ごします。共に様々な場所へ出かけ、楽しい思い出を積み重ねます。

しかし、夏の終わり、ビーチを訪れた二人は、ロボットが海水のせいで動かなくなるという悲劇に見舞われます。ドッグは救出を試みますが、ビーチは閉鎖されており、ロボットを置き去りにせざるを得なくなります。ドッグはロボットへの想いを抱えつつも、新しい友人や生活を築こうと試みますが、うまくいきません。

ビーチに取り残されたロボットは、様々な困難を経て廃品回収業者に売られます。しかし、アライグマのラスカルが彼の部品を買い取り、ラジカセを体としてロボットを再構築したことで、彼は再生を果たします。ロボットはラスカルと共に新たな日々を送り、二人の間にも温かい友情が生まれます。

月日は流れ、ドッグはロボットを見つけられず、新しいロボットであるティンと共に歩むことを決めます。ある日、ロボットはドッグとティンを目撃します。再会を望むロボットですが、互いがそれぞれの新しい関係を大切にしていることを悟ります。ロボットは思い出の曲を流し、ドッグはそれを耳にして踊りますが、二人は直接再会することなく、それぞれの道を選びます。ドッグはティンと、ロボットはラスカルと、それぞれの新しい友情を育んでいくのでした。

本作の企画は一度立ち消えとなりましたが、パブロ・ベルヘル監督が原作に感銘を受けて再び動き出しました。監督はスペイン国内に制作拠点を設け、2021年からマドリードとパンプローニャで制作が進められました。

『ロボット・ドリームズ』は、2023年のカンヌ国際映画祭で初公開され、世界各国の映画祭で高い評価を受けました。スペインやフランスでの劇場公開を経て、日本では2024年11月に公開され、ミニシアターランキングで1位を獲得しました。批評家からも傑出した評価を得ており、国内外でその芸術性と感動的な物語が高く評価されています。

言葉を用いない表現で、友情、別れ、そして新たな絆の始まりを繊細に描いたこの作品は、観る者の心に深く響く感動的な物語です。

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