ワラキア

ワラキア公国の歴史と地理

地理

ワラキアは、ルーマニア南部に位置する地方名であり、ルーマニアの首都ブカレストを含む地域でもあります。この地域名は「ヴラフ人の国」という意味があり、海外では主に「ワラキア」と呼ばれていますが、国内では「ツァラ・ロムネヤスカ」（ルーマニア人の国）が一般的です。ワラキアはドナウ川の北、南カルパチア山脈の南側にあり、オルト川によって東西に分けられ、東部はムンテニア、西部はオルテニアと呼ばれています。ここは古代ローマ時代の文化の影響も強く、数々の歴史的イベントの舞台でもありました。

歴史

ワラキアの歴史は非常に興味深く、多様な民族や文化の影響を受けています。公国の成立を考える上で、まずは古代から中世にかけての出来事を整理しましょう。ワラキアは古くはローマ帝国の影響下にあり、ダキア戦争後にローマ人による支配が及びましたが、その後はスラヴ人や他の民族の流入がありました。

中世の始まり

ワラキア最後の独立した公国としての姿は、14世紀に見られます。この頃、ルーマニア全土で様々な小国が乱立しており、最初に記録される公はリトヴォイで、彼はハンガリー王へ朝貢することを拒否しました。その後、バサラブ1世が公位を継ぎ、ワラキアの統一を進め、1330年のポサダの戦いでハンガリー軍を破り、独立を果たしました。

公国の発展

ワラキア公国はミルチャ1世の時代（1386-1418年）にオスマン帝国との関係が強まります。ミルチャ公はオスマン軍との戦いで短期間ながら支配を拡大しましたが、最終的にはオスマン帝国の属国となりました。その後、ワラキアは公位争いや外部勢力との戦争に翻弄されます。特に、ヴラド3世（ドラキュラ公）は、オスマン帝国に対する強硬策をとり、その統治下では国の安定と発展が進みました。

社会制度と文化の変遷

ワラキアの社会は、封建制度が根付いており、ボイェリ（貴族）がその主要な権力を握っていました。このため、政治的な権力争いの影響が強く、ボイェリたちは様々な公候補を立てて、自らの利益を追求していました。奴隷制度も存在し、主にロマ人がその対象でしたが、19世紀に廃止されることとなります。

19世紀に入ると、ワラキアは様々な外的要因により変化していきます。1859年にはモルドヴィアと合併し、ルーマニア公国の基礎が築かれました。この過程で、国民の意識が高まり、独立運動が盛んになりました。最終的には1881年にルーマニア王国として独立が承認されました。

結論

ワラキア公国は、今日のルーマニアの形成に深く関わり、その歴史は多様な文化や民族の影響を受けています。地理的な位置や歴史的背景を理解することで、ルーマニアの成り立ちについてより深く知ることができます。

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