ワールド・ビジョン

ワールド・ビジョンは、1950年に韓国でその歩みを始めた、キリスト教の精神を基盤とする国際的な非政府組織（NGO）です。この組織は、世界各地で貧困や不正、災害に苦しむ人々のために活動を展開しており、特に子どもたちの健やかな成長と権利の保護に重点を置いています。

ワールド・ビジョンの活動は、主に三つの柱で構成されています。第一に、突発的な災害や紛争などが発生した際に、被災・避難した人々に食料、水、シェルター、医療などの不可欠な支援を迅速に届ける緊急人道支援。第二に、貧困の根本的な原因に取り組み、地域社会が自立できるよう教育、保健衛生、水供給、農業などの分野で長期的な支援を行う開発協力。そして第三に、貧困や子どもの権利に関する問題を社会に訴えかけ、政策や制度の改善を目指す政策提言です。これらの活動を通じて、弱い立場に置かれた人々、特に子どもたちが希望を持ち、尊厳をもって生きられる世界の実現を目指しています。

ワールド・ビジョンの活動の根底には、深いキリスト教の信仰があります。組織全体が共有する神学的な枠組みとして、1978年に発表された「国際化宣言」において、全米福音協会が福音派の信条として採択した信仰告白に対応する内容を明確に位置づけています。これは、組織のすべての活動が、愛と正義、奉仕といったキリスト教の価値観に根ざしていることを示しています。

ワールド・ビジョンは、グローバルな組織として、世界およそ90カ国に活動拠点を設けています。この広範なネットワークにより、世界各地の支援を必要とするコミュニティに直接アクセスし、現地の状況に合わせた支援を提供することが可能です。活動資金は、世界中の個人や団体からの温かい寄付によって支えられており、その規模は大きく、例えば2008年には総額約26億米ドルもの寄付金が集まりました。これは、ワールド・ビジョンが国際社会からの信頼を得て、大規模な支援活動を展開していることの表れと言えるでしょう。

組織の歩みの中では、危険と隣り合わせの状況下で活動せざるを得ないこともありました。2010年には、パキスタン北西辺境州で活動中の事務所が襲撃を受け、尊い6名の職員が命を落とし、7名が負傷するという悲惨な出来事が発生しています。また、2013年にはスーダンのニャラで活動していた事務所にロケット弾が着弾し、2名のスタッフが犠牲となるなど、安全上の大きな課題に直面したこともあります。一方で、自然災害への対応も重要な活動であり、2011年のミャンマー地震や2013年のソロモン諸島地震といった大規模災害の際には、被災地のコミュニティへ緊急救援活動を実施し、困難に立ち向かう人々を支えました。

ワールド・ビジョンの活動を個人が支援する方法として最も広く知られているのは、「チャイルド・スポンサーシップ」です。これは、開発途上国の子どもと支援者が繋がりを持ち、定額の寄付を続けることで、その子どもが暮らす地域全体の開発を長期的に支援するプログラムです。この他にも、特定の緊急支援への寄付や、開発プロジェクトへの貢献など、様々な形でワールド・ビジョンの働きを支えることが可能です。

ワールド・ビジョンは、その設立から今日まで、キリスト教精神に基づき、世界中の弱い立場の人々、特に子どもたちのために働き続けています。困難な状況下でも活動を続け、人々の尊厳が守られ、すべての子どもが健やかに育つ世界の実現を目指しています。

もう一度検索