不思議な手帖

『不思議な手帖』

概要

『不思議な手帖』は、水木しげるによる日本の短編漫画作品です。1973年1月8日に『コミックミステリー』（双葉社）で発表されました。この作品は、名前を書かれた人間が死に至るという恐ろしい力を持つ手帖を中心に展開する物語です。その設定から、後に人気を博した漫画『DEATH NOTE|DEATH_NOTE』（大場つぐみ原作、小畑健作画）との類似性が指摘され、テレビ番組で特集が組まれるなど、注目を集めました。

ストーリー

物語は、ごく普通の市役所職員である山田が、ある日突然不思議な手帖を手に入れるところから始まります。その手帖は、名前を書かれた人間を死に至らしめる力を持っていました。当初は手帖の力に戸惑う山田でしたが、同僚のねずみ女に手帖を貸してしまいます。ねずみ女は手帖の力を利用して次々と殺人を犯し、その行為に恐怖を感じた山田は、手帖を取り戻してねずみ女を殺害します。しかし、罪悪感に苛まれた山田は、自分の名前を涙で手帖に書き込み、死んだつもりで手帖の存在を忘れてしまいます。月日が流れ、手帖が処分されることになった際、涙で書いた文字があぶり出しのように浮かび上がり、山田は手帖の力によって死亡するという衝撃的な結末を迎えます。

登場人物

山田
物語の主人公で、市役所に勤める45歳の平凡な職員です。ひょんなことから不思議な手帖を手に入れ、その力に翻弄されます。容姿は水木しげる作品によく登場する、メガネをかけた出っ歯の男性として描かれています。
ねずみ女
山田の同僚で、経理部に所属する古参の女性です。ずる賢く、手帖の力を利用して殺人を繰り返します。ねずみ男の妹という設定ですが、他の作品との関連性は特にありません。
社員たち
山田やねずみ女を馬鹿にする同僚たちです。彼らの存在が、山田の孤独感やねずみ女の歪んだ心理を際立たせています。

書籍情報

『不思議な手帖』は、以下の書籍に収録されています。

『怪物マチコミ 水木しげる妖怪傑作選3』（中公文庫、2008年1月、ISBN 978-4-12-204957-4）
『水木しげる妖怪傑作選2 不思議な手帖』（中央公論新社〈Chuko コミック Lite Special〉、2008年8月、ISBN 978-4-12-410632-9）
『水木しげる 超1000ページ(上)』（INFASパブリケーションズ、2009年9月、ISBN 978-4-900785-94-6）
『霊形手術 他』（講談社〈水木しげる漫画大全集〉、2015年6月、ISBN 978-4-06-377562-4）

類似作品

『不思議な手帖』は、以下のような作品との類似性が指摘されています。

『DEATH NOTE|DEATH_NOTE』：名前を書くと人が死ぬという設定が共通しており、最も類似性が高いとされています。
『地獄少女』：依頼人の恨みを晴らすために、ターゲットを地獄に送るという点が共通しています。
『ドラえもん』「あらかじめ日記は恐ろしい」：日記に書いたことが現実になるという点が、『不思議な手帖』の持つ力と類似しています。

脚注

注釈

出典

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