不滅の法灯

不滅の法灯（ふめつのほうとう）

不滅の法灯は、比叡山延暦寺の根本中堂内陣に存在する独特な灯火であり、消えずの法灯とも称されています。この灯火は、西暦788年に遡り、最澄が根本中堂の前身である一乗止観院を設立した際に、本尊の薬師瑠璃光如来の前で点火されたことが起源です。その後、法灯は一度も消えることなく、現在に至るまで燈光を保ち続けているとされています。これ以前からも、仏教の教えである光が末法の世においても消えることなく人々を照らし続けるという願いが込められています。

由来と信念

最澄はかつて、「明らけく後の仏の御世までも、光りつたへよ法のともしび」と詠んだと伝えられています。この言葉には、仏の光と法華経の教えを象徴する灯火が、時代を超えて仏教の教えを人々に伝え、照らし続けるという強い願望が伺えます。灯火の維持はこの精神に基づいており、今もなお僧侶たちが日々の供養とともに菜種油を注ぎ続けています。

構造と維持の仕組み

不滅の法灯は、菜種油を燃料とし、灯芯が浸る形で火が点されています。古代からの作り方を踏襲したこの灯篭は、現代でもその構造を保ち続けています。僧侶たちは毎日朝夕の2回、灯火が消えないように定期的に油を補充しています。もし油が途絶えることがあれば、それは比叡山で学ぶ僧侶が失われてしまうことを意味し、そのため「油断」という言葉が生まれたとも言われています。

分灯と法灯の広がり

1543年、立石寺が再建される際、不滅の法灯から分灯の要請がありました。この際、菜種油の火が立石寺に分けられ、以降もこの伝統は続いてきました。しかし、1571年に織田信長による比叡山焼き討ちの際には法灯が消失。その後、立石寺から再び分灯してもらい、1589年には元の場所に復活を遂げました。現在、不滅の法灯は立石寺以外にも、多数の天台宗寺院に分灯されています。また、毎年開催される天台青少年比叡山の集いでも、法灯の分灯が行われています。

参考資料と関連情報

不滅の法灯に関する情報は、NHKの「歴史探偵」や朝日新聞の記事にて詳細に紹介されています。興味がある方は、是非これらのリソースをご覧ください。特に、「天台青少年比叡山の集い」では、法灯に油を注ぐ様子なども動画で視聴でき、直接その光景に触れることができます。

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