中井捨吉

中井捨吉：将棋界に貢献した老練の棋士

中井捨吉（1892年8月28日～1981年8月20日）は、日本の将棋界において長く活躍した棋士です。木見金治郎九段を師事し、棋士番号6を授けられました。大阪府高槻市出身で、1925年に四段としてプロ入りを果たしました。

着実に段位を昇り詰め、順位戦が設立された1946年には六段に。第1期順位戦は戦災の影響で参加を断念しましたが、翌期から参戦。55歳という当時としては最高齢ながら、C級西組で8勝4敗という好成績を残し、B級に昇級、七段に昇段しました。その後は安定した成績を残すことはできませんでしたが、長年に渡って将棋界に貢献しました。

中井の棋士としての経歴は、順位戦での活躍だけでなく、戦時中のエピソードにも見られます。1942年、大阪市北区にあった日本将棋連盟関西本部事務所が疎開で閉鎖された際、自宅を事務所として提供しました。これは、将棋界の存続に尽力した証左といえるでしょう。

晩年は第一線から退き、普及活動に力を注ぎました。将棋道場の開設などを通して、後進の育成に尽力した功績は高く評価され、1964年には八段を贈呈されました。これは、棋士としての力量だけでなく、将棋界発展への貢献が認められた証です。

中井の弟子として、複数の棋士が誕生しました。しかし、彼の没後、弟子たちがプロ棋士になるまでには数年を要しています。これは、中井の死が将棋界に与えた影響の大きさを示唆していると言えるでしょう。

中井捨吉は、1981年8月20日に88歳でこの世を去りました。彼の死は、日本の将棋界に大きな損失をもたらしました。しかし、彼の残した功績は、多くの棋士や将棋ファンに長く記憶され、現在も将棋界の発展に影響を与え続けていると言えるでしょう。

昇段履歴

1925年1月1日：四段（プロ入り）
1928年：五段
1935年：六段
1948年4月1日：七段（順位戦B級昇級）
1952年：引退
1964年11月3日：八段（贈八段）

棋士としての特徴

中井捨吉は、長年の棋士生活の中で、様々な経験を積みました。戦時中の混乱期を乗り越え、順位戦で年齢を感じさせない活躍を見せ、引退後も普及活動に尽力するなど、彼の棋士人生は、単なる棋士のそれ以上の意味を持っています。

彼は、将棋の技術のみならず、人間性においても多くの後進に影響を与えたと言えるでしょう。中井捨吉という棋士は、日本の将棋史にその名を刻み込んだ、重要な存在だったのです。

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