中日本航空専門学校

岐阜県関市に所在する中日本航空専門学校は、学校法人神野学園が設置・運営する航空分野の専門学校です。1970年の開校以来、「技術者たる前に良き人間たれ」という建学の精神に基づき、高度な専門技術と豊かな人間性を兼ね備えた人材の育成に取り組んでいます。

教育理念と特色

本校の教育は、単に技術を習得するだけでなく、社会人としての基礎を築くことを重視しています。その象徴が、独自の教育科目である「人間学」です。この科目をとおして、学生は社会で円滑に活動するために必要なコミュニケーション能力、マナー、倫理観などを培います。

専門教育においては、実践力と即戦力を養うことに重点が置かれています。特に航空整備分野では、業界との密接な連携が特徴です。2007年度からはエアラインと協力して一等航空運航整備士の養成を開始し、2018年には主要エアライン（ANA、JAL）と提携した大型機整備士養成コースを新設しました。このコースでは、実際の機体や設備を用いた実践的な訓練を行い、一等航空整備士資格の取得を目指します。

こうした教育体制により、卒業生は航空業界の多岐にわたる分野で活躍しています。エアラインやその系列の整備専門会社はもちろんのこと、航空機製造会社や空港の地上支援を行うグランドサービス会社など、幅広い企業に就職しており、その就職率は例年ほぼ100%に近い高い水準を維持しています。

学科構成

本校では、航空業界の多様なニーズに対応するため、複数の学科とコースを設置しています（いずれも昼間課程）。

航空整備科（3年制）:
エアライン（ANA・JAL）整備士養成コース
二等航空整備士コース（飛行機タービン専攻）
二等航空整備士コース（飛行機ピストン専攻）
二等航空整備士コース（ヘリコプタータービン専攻）
これらのコースでは、航空機の安全な運航を支える整備技術者を育成します。

エアロスペース科（3年制）:
旧称「航空生産科」から2023年4月に名称変更。航空機や宇宙関連機器の製造・開発に関わる技術者を育成します。

航空ロボティクス科（3年制）:
航空整備科の旧「航空電子コース」を改組し、2023年4月に新設されました。航空分野における電子技術やロボティクス技術に特化した教育を行います。

エアポートサービス科（2年制）:
グランドハンドリングコース
キャビンアテンダント・グランドスタッフコース
空港の地上業務（搭乗手続き、荷物管理など）や客室乗務員として活躍する人材を育成します。2010年にはグランドスタッフコースが新設され、2017年にはこの学科と当時の航空生産科（現エアロスペース科）のための新校舎がキャンパス内に完成しました。

学生生活と環境

本校は岐阜県関市に立地していますが、学生の出身地は全国各地に及び、地元岐阜県出身者は少数派です。多様なバックグラウンドを持つ学生が集まり、切磋琢磨しながら学んでいます。

学生の約7割はキャンパス近隣の学生寮で生活しています。寮には風呂・トイレが完備されたタイプとそうでないタイプがあり、一部の寮では夕食が提供されますが、基本的には自炊となります。通学に関しては、寮や自宅からの距離に応じて、自転車、バイク、自動車などの利用が認められています。特に遠方からの通学者や寮外からの通学者は、自動車や大型バイクでの通学が許可されています。また、名鉄新鵜沼駅からは無料のスクールバスが運行されており、多くの学生が利用しています。

キャンパス施設としては、最新の実習設備を備えた教室や、講義室、図書館などがあります。2017年に完成した新校舎には、食堂も移転・整備されました。ただし、新食堂はキャンパス内の位置関係から、一部の学科の教室からは距離があり、特に航空整備科の学生にはあまり利用されていないという声もあります。

沿革

本校は1970年に開校しました。以降、航空業界の変化に対応しながら、学科の改編や施設の拡充を行ってきました。前述の学科改編や新校舎建設に加え、2016年には航空整備科に飛行機タービンコースを新設するなど、常に時代のニーズに合わせた教育を提供しています。

中日本航空専門学校