中村勝宏

中村 勝宏（なかむら かつひろ）

中村勝宏は、1944年に鹿児島県阿久根市波留に生まれた日本の著名な料理人であり、数多くの業界での役職を歴任してきました。彼の祖父は医者で代議士であり、阿久根温泉の父とも呼ばれています。いわば、料理界と地元の文化、両方の重責を担う家系に生まれたのです。中村は、特にフランス料理の分野で傑出した業績を残しており、日本人として初めてパリの『ル・ブールドネ』でミシュランガイドの1つ星を獲得したことで知られています。

学歴とキャリアの初期

1962年、中村は鹿児島県立阿久根高等学校（現、鹿児島県立鶴翔高等学校）を卒業後、箱根ホテル小涌園で働くことになります。その後、横浜プリンスホテルに移り、ここから彼の料理への道がスタートしました。1970年に渡欧し、スイス・チューリッヒの「ホテル・アスコット」でシェフ・ソーシエとしての経験を積みました。以降、フランスの有名なレストランで約15年間にわたりキャリアを築きました。特に『オー・ザルム・ド・フランス』や『トロワグロ』など、数々の著名な店舗で腕を磨き、その名声を高めていきます。

ミシュラン1つ星と帰国

1979年、中村はパリの『ル・ブールドネ』にて初めて日本人としてミシュランの1つ星を獲得しました。これは日本の料理界に大きな影響を与え、彼自身のキャリアを飛躍させるターニングポイントとなります。その後、1984年に帰国。ホテルエドモントの開業に伴い、フランス料理レストラン「フォーグレイン」の料理長に任命され、料理部門の統括料理長としての役割を果たしました。

業界での貢献

1989年には、取締役調理部長に就任し、SOPEXA（フランス食品振興会）やFFCC（フランス料理文化センター）との協力を通じて、日本国内の料理文化の発展に寄与しました。彼は「各地の地産地消」をテーマにしたプロデュースや、料理セミナー、講演会など多岐にわたって活動を展開。特に食育にも力を入れ、次世代の料理人への教育にも貢献しています。

最後の活動と栄誉

2007年にはザ・ウィンザーホテル洞爺リゾート&スパの総料理長となり、2008年の洞爺湖サミットでは総料理長を務めて国際的な舞台での評価を再確認しました。その後、同年に退任した後も日本ホテル株式会社の取締役や名誉総料理長として活動を続けています。

中村は多くの著書を持ち、特にフランス料理に関する出版が多いです。彼の著書には『フォーグレインで考える 私のフランス料理』や『ポワルの微笑み』などがあります。また、数々の料理コンクールの審査員を務め、業界全体の向上に努めています。

栄誉の数々

中村は数多くの栄誉を受けており、特にフランス共和国農事功労章を複数回受章しています。これにより、彼の料理に対する情熱と技術が国内外で高く評価されていることがはっきりと示されています。彼は、今もなお日本の料理界において重要な存在であり続けています。

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