中村航

多彩な才能でシーンを彩る作家・中村航

岐阜県大垣市出身の中村航氏は、1969年11月23日生まれの小説家、作詞家、音楽プロデューサー、そして実業家です。VTuber事務所「Mi→RiSE」代表や、自身が設立した出版社「ステキコンテンツ合同会社」代表も務めるなど、その活動は多岐に渡ります。

エンジニアから小説家へ

大垣市立北中学校、岐阜県立大垣北高等学校を経て、芝浦工業大学工学部工業経営学科を卒業後、メーカーに就職しエンジニアとして従事していました。10代の頃からバンド活動を行い、作詞作曲に親しんでいた中村氏ですが、27歳でバンド活動を辞めたことをきっかけに、友人の勧めで小説を書き始めます。

29歳で会社を退社し、執筆活動に専念。生活を大きく変えながら小説を書き続け、2002年、31歳の時に『リレキショ』で第39回文藝賞を受賞、作家デビューを果たします。その後も『ぐるぐるまわるすべり台』で第26回野間文芸新人賞を受賞するなど、数々の賞を受賞し、その才能を高く評価されました。

多様な影響と独自の作風

幼少期に読んだ児童小説や、椎名誠、村上春樹、吉本ばなな、江國香織、角田光代といった作家から多大な影響を受けたと語る中村氏。作品では、登場人物を「劇団員」になぞらえ、作品によって名前や性別は異なれど、共通する核を持つキャラクターを描き出しています。例えば、『リレキショ』の山崎さんと『絶対、最強の恋のうた』の木戸さんは、名前や性別こそ違えど、その核となる部分において共通性を持つキャラクターとして描かれています。

自身の作品表紙イラストは、盟友であるイラストレーターの宮尾和孝氏が担当することが多く、作品によっては章扉や作中にもイラストが使用されています。

メディアミックスへの貢献

2015年からは、ブシロードが企画するメディアミックスプロジェクト『BanG Dream!』の原作・ストーリー原案を務め、世界観やキャラクター設定、原作小説の執筆、メディアミックス作品の原作・ストーリー原案、作中楽曲の作詞など幅広い分野で活躍しています。ブシロードの編集者による『ぐるぐるまわるすべり台』への推薦がきっかけとなり、プロジェクトに参加することになったと語っています。

『BanG Dream!』プロジェクトでの作詞活動について、中村氏は「もともとは作詞・作曲経験しかない人間が小説を書きはじめた。だから、『BanG Dream!』プロジェクトでは、小説家が詞を書いているのではなく、作詞家が小説を書いているというほうが近いと思うことがある」とコメントしています。この発言からも、作詞家としての経験が小説家としての活動に、そして小説家としての経験が作詞家としての活動に、それぞれ好影響を与えていることが伺えます。

その後も、『BanG Dream!』プロジェクト以外のブシロードコンテンツにも多数起用され、『from ARGONAVIS』や『D4DJ』などでもストーリー原案や作詞、さらには『Lyrical Lily』の音楽プロデューサーを担当するなど、その活躍は多方面に広がっています。

出版社設立とVTuber事務所

2016年には「ステキコンテンツ合同会社」を設立し代表に就任。2020年には同社を母体として小説投稿サイト「ステキブンゲイ」と小説・漫画レーベル「ステキブックス」を発足させました。さらに、2021年6月14日にはVTuber事務所「Mi→RiSE」の代表にも就任しています。

2023年7月からは、コンテスト・創作情報サイト「Koubo」にて、独自の「書き方」フォーマットを使用したプロット募集企画を連載するなど、精力的に活動しています。

数々の受賞歴と豊富な作品リスト

中村氏の作品リストは多岐に渡り、一般小説、児童文学、ノベライズ、絵本、共著、アンソロジーなど、さまざまなジャンルの作品を発表しています。映画化された作品も多く、その作品群は幅広い層に支持されています。さらに、受賞歴も輝かしいもので、文藝賞、野間文芸新人賞など、数々の賞を受賞しています。芥川賞候補にも複数回ノミネートされています。

このように、小説家、作詞家、音楽プロデューサー、実業家として多方面で活躍し続ける中村航氏。今後もその活動から目が離せません。

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