九岡望

九岡望：廃墟とマシンが織りなす物語の創造者

九岡望（くおか のぞむ）氏は、1988年生まれの日本のライトノベル作家、そしてSF作家である。熊本県で生まれ、現在は福岡県を拠点に活動している。

彼の作家としてのキャリアは、2011年に第18回電撃大賞小説部門で「エスケヱプ・スピヰド」が受賞したことに始まる。この作品は翌年、改稿を経て刊行され、九岡氏の作家デビュー作となった。電撃大賞への応募を決意した背景には、秋山瑞人氏への強い憧憬があったという。

九岡氏の作品世界は、独特の雰囲気に満ちている。SF的な要素を持つマシンが物語に彩りを添え、舞台となるのは多くの場合、廃墟である。自身を「廃墟マニア」と称する九岡氏にとって、志免炭鉱跡は特に思い入れのある場所だという。廃墟という、歴史の痕跡と未来への期待が交錯する空間を舞台に、九岡氏は独自の物語を紡ぎ出している。

彼の作品リストは多岐に渡る。代表作である『エスケヱプ・スピヰド』は、シリーズとして全8巻に及ぶ長編作品であり、読者から高い評価を得ている。他にも、『ニアデッドNo.7』、『言鯨【イサナ】16号』、『地獄に祈れ。天に堕ちろ。』シリーズなど、様々な作品を発表している。近年では、原作小説『プラントピア』の執筆にも携わっている。

書籍のみならず、雑誌掲載作品も数多い。代表作『エスケヱプ・スピヰド』のスピンオフ作品や、短編小説、さらにエッセイなども執筆しており、その才能は多方面に広がっている。特に『電撃文庫MAGAZINE』には、多くの作品が掲載されている。また、バイクを愛し、自らバイクで旅をする経験を元に執筆したエッセイシリーズ「九岡望のバイクで旅して考えた」は、彼の作品とは異なる側面を見せるものであり、読者に親近感を与えている。

アンソロジーへの参加も積極的で、『七人の時雨沢恵一』や『BLAME! THE ANTHOLOGY』などに作品が収録されている。これらの作品を通じて、九岡氏は他の作家たちとの交流や、新たな創作の刺激を得ていると考えられる。

作家としての活動以外では、自身のX（旧Twitter）アカウントで積極的に情報発信を行っている。読者との交流や作品の情報発信などを通して、作品への理解を深める機会を提供している。

九岡望氏の作品は、廃墟という独特の舞台設定と、SF的な要素を巧みに融合させた、個性あふれる作品群である。今後も、彼の独特な感性から生み出される新たな物語に期待が高まる。彼の活動は、単なる小説執筆にとどまらず、廃墟への関心、バイクへの情熱、そして自身の経験を創作に活かすなど、多角的な視点と幅広い活動が、多くの読者を魅了し続けている。

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