二重投稿

二重投稿とは

二重投稿（にじゅうとうこう）は、同じ作品を複数の公募に出す行為を指します。この行為は論文や小説、漫画、写真、絵画など、多様な形式의 作品に対しても行われる可能性がありますが、特に論文の二重投稿は重大な問題とされており、厳しい制裁が伴うことが一般的です。

論文の二重投稿

論文の二重投稿については、国際医学雑誌編集者委員会による「生物医学雑誌に投稿される原稿に関する統一的な基準」がしばしば参照されます。日本でも各学会が二重投稿への対応を強化しており、日本原子力学会の編集委員会は2008年に「論文投稿の際の著作権および二重投稿についての注意点」を発表しました。この文書では、同一の研究結果に基づく論文を複数の審査機関や出版社に投稿することが「二重投稿」と見なされ、社会的な制裁を受けることが明記されています。

二重投稿のロジック

山本順一は、論文の二重投稿に該当する行為の論理構造を次のように整理しています:

• - 他の言語に翻訳されたものも含め、同じ内容のものは二重投稿となる。
• - 別の論文と内容や結論が非常に似ている場合。
• - 先行論文と比べて新規性がほとんどない場合。
• - 既存データを利用し、新たな知見を追加しない場合。
• - 適切な引用がされず、他者の業績を無断で利用する場合。

これらの観点から、二重投稿は学術雑誌の資源の無駄遣いであり、学術文化の尊重を欠いた反社会的な行為とされるのです。

とはいえ、一部の研究者の行為は二重投稿には当たらないとされている場合があります:

• - 論文の価値が第三者に認められ、学術情報を普及させるために発表する場合。
• - 限定された場での発表を、正式に公表するために行う場合。

小説や漫画の二重投稿

小説、漫画、写真、絵画といった作品では、二重投稿は厳しく禁じられており、発覚次第で入賞や入選が取り消されることが一般的です。さらに、二重投稿の経験のある者は、他の作品の応募も拒否されることがあります。ただし、ある公募で落選した作品を他の公募に出すことが認められる場合もあり、これは公募の規定によって異なります。

二重投稿の禁止は、モラルの観点だけでなく、複数の公募先が同時に著作権を取得するという法的リスクを避けるためでもあります。日本からの作品が翻訳され、海外で出版される例は一般的ですが、国際的なコンクールでは規約違反により失格となることもあります。

例えば国際作曲コンクールなどは二重投稿を厳しく禁止しているものも多く、このルールに不慣れな参加者は注意を要します。一方、ピアノやヴァイオリンのコンクールでは、同じレパートリーで複数回出場することが一般的なため、運営方針は異なる点も存在します。

結論

二重投稿は、論文や作品の評価だけでなく、著作権や倫理の問題に関わる重要なテーマです。研究者やクリエイターはその影響を考慮し、慎重に行動する必要があります。

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