今治城

今治城の概要

今治城（いまばりじょう）は、愛媛県今治市に位置し、江戸時代に建設された日本の城です。別名「吹揚城」とも呼ばれ、昭和28年には愛媛県の史跡に指定されました。この城の特異な特徴は、三重の海水の堀を持つ点であり、海上交通の要所としての優れた設計が注目されています。今治城は日本三大水城の一つにも数えられています。

歴史と沿革

今治城の築城は1598年に始まり、慶長9年（1604年）に完成しました。藤堂高虎が設計と指揮をとり、普請奉行には渡辺了が関わりました。築城前は唐子山の国府城が支配拠点でありましたが、効率的な都市経営を目指して今治城が建設されました。城内は広大で、二之丸には藩主館があり、中堀内には側近の武士の屋敷、外堀内には侍屋敷が配置されていました。城門は9ヶ所、櫓は20ヶ所もあり、壮大な造りが印象的です。

慶長14年（1609年）には藤堂高虎が異動となり、その際天守は丹波国の亀山城へ移築されたとされています。今治城の天守は、当時の建築様式である層塔型を採用しており、これは風や地震に対しての耐久性が考慮されたものでした。

江戸時代の変遷

寛永12年（1635年）以後、今治城は松平（久松）定房の居城となり、約260年間にわたって今治藩に用いられました。しかし、明治維新後の1869年、廃城令に伴いほとんどの城郭が取り壊され、残されたのは二の丸北隅の武具櫓のみでした。明治4年（1871年）にはその武具櫓も火災で失われてしまいました。

現代の再建と復元

現在、今治城の石垣や内堀は江戸時代の姿をほぼ保持しています。昭和55年（1980年）には鉄筋コンクリートで再建された天守が建設され、続いて1985年には東隅櫓が外観復元されました。1990年には二の丸西隅の山里櫓も復元され、2006年には日本100名城の79番目に選定されました。また、2007年には鉄御門とともに五つの多聞櫓が復元されました。

天守の存在について

今治城の天守に関する記録は不足しており、実際に建設されていたかどうかは定かではありません。藤堂家の家譜には天守の存在が記されているものの、遺構は確認されていません。このことから、天守が当時に存在したとしても非常に短期間であった可能性が高いとされています。

また、再建された天守は歴史的な資料が限られているため、歴史的事実に基づかない模擬天守とされます。再建の際には亀山城の天守を参考にしたとされるものの、実際の構造や装飾に違いが見られます。最上階からは、現在の瀬戸内海の景観を楽しむことができ、地域の観光名所としても訪れる人々に親しまれています。

アクセス

今治城へのアクセスは、JR予讃線の今治駅から瀬戸内バスを利用し、「今治営業所」行きに乗車、約10分で「今治城前」に到着し、そこから徒歩約3分の距離です。

もう一度検索