仮面ライダー対じごく大使

『仮面ライダー対じごく大使』

『仮面ライダー対じごく大使』は、1972年7月16日に公開された中編映画で、特撮テレビドラマ『仮面ライダー』の第2作目となります。この作品は、当時の「変身ブーム」に乗り、東映まんがまつりの一環として企画されました。上映時間は34分、カラーでシネスコ方式で制作されています。

背景と概要

1970年代に入り、子どもたちの間で「変身」ヒーローに対する熱狂が高まり、テレビ各局はこぞってヒーロー番組を放送していました。『仮面ライダー対ショッカー』が成功を収めたことから、東映はこの波に乗り、夏休みの特別興行を「へんしん大会」と名付け、本作をそのメイン作品として位置づけました。

ストーリーは、原作漫画『仮面ライダー』の最終章「仮面の世界」をベースにしており、富士山麓で繰り広げられる仮面ライダーと怪人軍団との戦いが描かれています。この作品では、「じごく大使」というタイトルが使われていますが、これは一般的な観客に広く受け入れられるように配慮されたものであるといえます。

公開時には「新怪人カミキリキッド」との戦いが注目され、キャッチコピーには「新怪人カミキリキッドだ！ ぼくらの仮面ライダーが、大型画面でおおあばれ！」が使用されました。また、仮面ライダー2号の一文字隼人は登場しません。

あらすじ

映画は、本郷猛と滝和也が東日本ロードレースに参加するところから始まりますが、ショッカーによる妨害を受けます。彼らは富士山頂にある大要塞にスーパー破壊光線砲を設置し、日本全土を攻撃するという悪巧みを進めていました。仮面ライダー1号は、この作戦を阻止するために立ち上がりますが、そこでカミキリキッドとその怪人軍団が立ちはだかります。

登場怪人

本作の新怪人であるカミキリキッドは、カミキリムシをモチーフにした改造人間で、独特の攻撃スタイルを持ちます。彼は痺れガスを使い、立花レーシングクラブを襲撃します。しかし、最終的には仮面ライダー1号に倒されます。カミキリキッドは子どもたちの人気を集め、同年の人気コンテストで1位に選ばれました。

そのほか、カブトロングやザンジオーなど、多数の怪人たちが登場し、仮面ライダー1号との壮絶な戦闘が繰り広げられます。ただし、多くの怪人たちとの決着がつかないまま物語は進行します。

製作と影響

本作の制作は、主演の藤岡弘が行方をくらませたことにより、一時中断を余儀なくされました。この事件によってストーリーやキャラクターの設定に大きな影響がありました。しかし、その後藤岡は復帰し、最終的には本作を公開することができました。この映画は、後の映画やアニメにも影響を及ぼし、仮面ライダーシリーズの重要な位置を占めています。

映像とメディア

『仮面ライダー対じごく大使』は、その後もさまざまな形で映像ソフト化され、ファンの間で親しまれ続けています。DVDやBlu-rayなどがリリースされ、さらに2023年にはYouTubeでの期間限定無料配信が行われました。

この映画は、単なるヒーロー物を超えた深いストーリーや、キャラクターの魅力を持った作品として多くの人々に記憶されています。

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