会計検査院法

会計検査院法（かいけいけんさいんほう）

会計検査院法は、昭和22年（1947年）4月19日に法律第73号として公布・施行された、日本の法律です。この法律は、国が行う会計検査を担う最高機関である会計検査院について、その組織や権限、運営のあり方などを詳細に定めています。具体的には、日本国憲法第90条第2項の規定に基づき、会計検査院の設置根拠とその基本的な枠組みを確立するものです。所管官庁は、もちろん会計検査院自身です。

概説

本法は、日本国憲法において国の収入支出の決算検査権限が会計検査院に与えられたことを受け、会計検査院がその憲法上の役割を適切に果たすために必要となる組織の構成、運営方法、そして具体的な検査の権限について包括的に規定しています。国の財政が適正に執行されているか、また効率的に運用されているかなどを厳正にチェックする上で、会計検査院が十分に機能するための法的基盤を提供しています。

組織

会計検査院が政府から独立して、真に公正な会計検査を行うためには、行政府である内閣からの影響を一切排除できる強い独立性が不可欠です。このため、会計検査院法は、その組織の独立性を確保するための様々な仕組みを設けています。

まず、会計検査院が内閣に対して独立した地位を有することを第一条で明確に宣言しています。
組織の中核をなす検査官の任命については、第八条で定められている例外的な場合を除き、その意思に反して退官させられることがないよう、厳格な身分保障がなされています。これにより、検査官が職務遂行にあたって不当な圧力に屈することなく、独立性を保つことができるようになっています。
さらに、検査官の任命には、国会の同意が必要とされる国会同意人事の手続きが採用されています（第四条）。これにより、行政府のみならず立法府の関与を通じて、検査官の独立性と適格性が担保される仕組みとなっています。
会計検査院の長である会計検査院長は、外部からの任命ではなく、検査官自身の互選によって選ばれます（第二条）。これも、内部での自律的な運営を可能にし、独立性を高めるための重要な規定です。

これらの規定により、会計検査院は内閣から独立した機関として、国の会計検査という重要な役割を果たすことができる体制が構築されています。

権限

会計検査院の検査権限は非常に広範にわたります。憲法第90条第1項では、少なくとも国の収入支出の決算は全て検査し、その結果を国会に報告しなければならないと定められています。会計検査院法は、この憲法上の権限に基づき、国の会計全般にわたる検査を行う権限を会計検査院に付与しています。

具体的には、国が管理する現金や物品の出納、財産の状況などを検査対象とします。
また、検査の範囲は、憲法に定められた国の収入支出の決算検査にとどまりません。法律によって特に定められた会計についても検査を行うことができるとされています（第二十条第一項）。
この「法律に定められた会計」の例としては、放送法第79条の規定に基づき、公共放送である日本放送協会（NHK）の会計に対して行われる検査などがあります。

このように、会計検査院は国の会計のみならず、国民生活に大きな影響を与える特定の公共的な法人等の会計についても検査する権限を持ち、その活動を通じて国の財政の健全性や効率性の確保に寄与しています。

構成

会計検査院法は、その内容に応じて以下の章及び節に分かれて構成されています。

第一章　組織
第一節　総則
第二節　検査官
第三節　検査官会議
第四節　事務総局
第五節　会計検査院情報公開・個人情報保護審査会
第二章　権限
第一節　総則
第二節　検査の範囲
第三節　検査の方法
第四節　検査報告
第五節　会計事務職員の責任
第六節　雑則
第三章　会計検査院規則
附則

これらの章立てからわかるように、本法は会計検査院の組織体制を定め、次にその具体的な検査権限と手続き、そして検査院が定める規則に関する事項を体系的に記述しています。

関連事項

会計検査院
会計検査院規則

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