供託金

供託金とは

供託金とは、法律に基づき候補者が公職選挙に立候補する際に、法務局などの供託所に預ける必要がある金銭や債券のことです。この制度は、無意味な立候補や流行候補の乱立を防ぐ目的で設けられています。供託金の金額は立候補する選挙の種類によって異なり、選挙結果により全額が没収される場合もあれば、一定の得票率を超えることで全額が返還される場合もあります。特にインターネットの普及によって、候補者の中には供託金を失うリスクを冒してでも、「売名効果」を狙う者が増えてきました。

供託金の概要

選挙供託金は、正式に立候補するためには法定の金額を納める必要があることを意味します。統一的な供託金制度が定着するのは、1925年の普通選挙法の制定以降です。ここでは、供託金を納めない候補者が当選することが難しくなり、候補者に対して一定の経済的敷居が設けられました。つまり、この制度は、真剣に立候補を考える者と、単に一時的な注目を集めるためだけに立候補する者を分ける役割を果たしています。

日本における供託金は、現金または国債証書で納めることが求められます。また、一定の当選基準を満たした場合、または所定の得票数を得た際には、供託金が全額返還されます。一方、これに満たない場合には全額が没収され、その金額は選挙公営の資金として活用されることになります。

日本における具体的な状況

日本では、衆議院選挙や参議院選挙において供託金の金額は異なるが、基本的な酌量基準が設けられています。例えば、衆議院選挙の供託金は300万円ですが、比例区で候補者が名簿に登録されている場合は、当選者の数に応じて返還される金額が設定されます。

公選法において定められている供託金の納付義務には、立候補の届け出に際し、供託書を提出しなければならないということが含まれています。得票数が法定基準（供託金没収点）を下回る場合には、供託金が没収される仕組みとなっています。投票数の約10%を下回ると没収されるというルールです。

選挙における供託金の歴史

初期の選挙制度では、立候補届出制が適用されておらず、候補者は供託金を納めることなく投票を受けることができました。しかし、1925年に普通選挙法が施行され、その後供託金が導入されてからは、候補者は供託金を納めることが求められるようになりました。これにより、過去の選挙運動や売名立候補を抑制することが目的とされました。

供託金は年々改正され、その金額が上昇していますが、供託金の引き下げや没収ラインの緩和は行われたことがありません。これにより、新人候補や小政党の立候補が難しくなり、選挙へのアクセスが制限されるという批判も存在します。また、過去には供託金制度が憲法に違反しているとする訴訟が起こされたこともありますが、最高裁判所はこれを合憲と判断しました。

問題点と批判

一部の候補者は、供託金を納めてでも知名度を上げることがメリットになるため、制度自体の有効性が問われています。2024年の東京都知事選挙では、売名目的の立候補が相次ぎ、供託金の没収リスクを持ちながら立候補する者が増加しています。

他国と比較すると、日本の供託金の高さは際立つものがあります。多くの先進国では、住民推薦制度の導入を通じて、手数料により必要な資金を調達しているため、日本での供託金制度に対する批判は続いています。

このように、供託金制度は制度的な公平性を求める中で、立候補者の権利をも制限する可能性があるため、選挙制度の改善が議論されています。

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