八十亀ちゃんかんさつにっき

八十亀ちゃんかんさつにっき

著者: 安藤正基
掲載誌: 月刊ComicREX（2016年7月号〜2022年11月号）

概要

『八十亀ちゃんかんさつにっき』は、東京都から愛知県に引っ越してきた主人公・陣界斗が名古屋での新生活を通じて、地元の文化や言葉に触れながら成長していく様子を描いた漫画です。ヒロインの八十亀最中を中心としたキャラクターたちが織り成す日常には、名古屋特有の習俗が色濃く反映され、その描写は地元民の視点からも共感を呼ぶ内容となっています。

この作品は、地元愛が溢れる一方で、その魅力だけでなく、地元における独特な価値観や少しユニークな側面をも正直に描いています。作中では「おかしなことはおかしいと正直に」というポリシーが貫かれ、名古屋の名所や名物も実名で多数登場していますが、その際には許可を得る際に苦労することもあると著者は語っています。

元々は作者が息抜きに始めたSNS投稿から発展した作品であり、人気を博したことから連載化が決定。2016年11月には著者にとって初の単行本も発売されました。作品は1話完結型の形式を取り、各エピソードごとに名古屋弁を用いた解説も交えられています。

登場人物

物語は陣界斗と八十亀最中を中心に展開します。以下は主な登場キャラクターの紹介です。

陣 界斗（じん かいと）

東京都育ちの高校2年生。名古屋に転校してきたばかりで、名古屋文化に戸惑う様子を描かれています。最中との出会いや仲間たちとの交流を通じて、徐々に名古屋に馴染んでいきます。特に名古屋弁や地元の食文化に対して最初は偏見を持っていましたが、次第にその魅力を理解し始めます。

八十亀 最中（やとがめ もなか）

名古屋出身の高校1年生で、本作のヒロインです。彼女は名古屋の文化に誇りを持ち、名古屋弁で話す姿が印象的です。最中は地元の食文化や方言を愛しつつ、名古屋の魅力を界斗に伝える役割を担っています。

只草 舞衣（ただくさ まい）

岐阜県出身で、界斗と最中と同じ写真部に所属。最中を心から思いやっている親友です。彼女も名古屋文化には精通しており、様々なエピソードでその知識を披露します。

笹津 やん菜（ささつ やんな）

三重県出身の写真部部長。名古屋の名物への愛情が強く、名古屋に対する深い愛を持ちながらも、地元三重への誇りも忘れていません。

人気と影響

この作品は、地元名古屋ならではの魅力を伝える一助となっています。2022年夏には、八十亀最中が名古屋市の観光文化交流特命大使に任命され、さらにはキャラクターの着ぐるみも制作されるなど、地元の文化振興にも寄与しています。

また、漫画も口コミで広まり、電子書籍を含めた累計発売部数は60万部を超えています。特に、名古屋を含む東海地方での売上は非常に好調で、地域の人々からの支持を受けています。

この作品は漫画としてだけでなく、地域振興や文化交流の一環としても高い評価を得ており、名古屋の良さを広める存在となっています。

終わりに

『八十亀ちゃんかんさつにっき』は、そのユニークなキャラクターと共に、名古屋の魅力を楽しく、時には正直に描いた作品です。地元の方言や文化に触れることで、読者は新たな発見をし、名古屋との距離が縮まることでしょう。

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